VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#331 『Home Sweet Home』(Christophe Héral/Beyond Good & Evil/PS2)

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Ubisoftがおくるアクションアドベンチャー・Beyond Good & Evilより、

Christophe Héral作曲、『Home Sweet Home』。エンディングの前半などで流れます。

Ubisoft謹製のアクションアドベンチャーとして登場した本作。何世紀もの間、異星人に侵略され続ける惑星Hyllisを舞台に、反撃もせずやられるがままに放置する政府の陰謀を暴くべく、一人の女性記者と相棒の豚が冒険の旅に出ることになる。日本では未発売だが、海外ではいくつものハードに移植され、数々の賞を受賞した3Dアクションの名作として語り継がれている。主人公は記者であるという設定上、作中ではスクープ写真を撮影することで物語が進んでいき、パズルやその他個性的なアクション要素も相まって、未だに根強い人気を誇る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはChristophe Héral氏。フランス出身の映画音楽兼ゲーム音楽作曲家である。氏は後にRaymanシリーズ(本作のディレクターであるMichel Ancel氏が手がける横スクロールアクションシリーズ)でも作曲することになる。本作はハードなSF的世界観でありながら、収録されている楽曲は強い郷愁を誘うものが多く、いずれも冒険心をくすぐる良曲揃いである。サウンドトラックは一時期公式により無料で配信されていた。

エンディングの前半部、また作中においてはBlack Isleに向かう途中で流れるこの曲は、本作のメインテーマ的な位置づけにある叙情的な一曲である。非常に透明感あふれるピアノの静かなイントロから始まり、43秒あたりからストリングスによる伴奏が加わると、落ち着いた曲調ながらもどこか焦燥感に満ちた不思議な響きを帯びるようになる。途切れることなく奏でられ続けるピアノの音色が2分7秒あたりで一旦止み、それから30秒ほどの間、ストリングスが焦らすように同じフレーズを反復すると、続いて返り咲くピアノの旋律はより一層の美しさを湛えて曲を締め括る。故郷を偲びつつ、真実を求めて確かな足取りで前へと突き進む要素を綺麗に表現した一曲である。

心が洗われるような一曲ですね。