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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#724 『風は丘をこえて』(風水嵯峨/風雨来記/PS)

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FOGがおくるアドベンチャー風雨来記より、

風水嵯峨作曲、『風は丘をこえて』。タイトル画面で流れます。

旅行と恋愛がテーマのアドベンチャーゲームとして登場した本作。駆け出しのルポライターである主人公は、一ヶ月にわたる北海道の野宿旅行記を執筆すべく、現地をバイクでツーリングしながら様々な人々との出会いと別れを経験することになる。大まかな流れとしては、北海道各所を移動し、取材地点で写真を撮影し、仕入れたネタで記事を作成する、というもので、行く先々でヒロインとの交流をはじめとする思いもよらぬドラマに巻き込まれていく。別れに重きを置いたシナリオと、北海道の空気を肌で感じることのできる臨場感あふれる世界観とが相まって、旅行アドベンチャーの代名詞とも言われる作品である。

本作の音楽を担当するのは故・風水嵯峨氏。フリーランスの作曲家で、FOGの作品には本作以前にも久遠の絆で作曲していた。本作では北海道の魅力を音で表現すべく、ピアノやストリングス、ハーモニカなどの優しい音色をふんだんに用いた楽曲が多く揃っていて、旅情をそそるようなヒーリングサウンドが堪能できる。サウンドトラックは未収録曲やアレンジ曲も含めて全曲収録されていて、37曲すべてに氏による個別の楽曲解説が付されている。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。リズミカルに奏でられるピアノの前向きな旋律と、ストリングスの雄大な音色とが重なり合って、これから旅に出かけるぞ、という初々しい気持ちを後押ししてくれるような朗らかさに満ちている。氏曰く「北海道の初夏に対する思いを込めた曲」であり、「ピアノは旅人、それを包み込むストリングスが風、太陽、波打つ草原」というイメージで作曲したらしく、そのことば通り、実り豊かなアンサンブルは旅人と自然とが戯れ合うような微笑ましさを感じさせる。北の大地の開放的な息吹を鮮やかに印象付けてくれる一曲である。

聴いているだけで自然と北海道に行きたくなります。ちょうど雪まつりが終わった頃でしょうか。