アクワイアがおくるファンタジーRPG・オクトパストラベラーより、
西木康智作曲、『理を司る者』。上位ジョブを習得する際のボス戦で流れます。
スクエニ販売の完全新規作としてアクワイアが開発を務め、スイッチ向けに発売された本作。目的も職業も異なる八人の旅人たちを主人公に、オムニバス形式で物語が進行する。古き良きJRPGのイメージをベースに、街を歩くだけでも楽しいキャラクターごとに固有のフィールドコマンドや、ドット絵と3DCGを融合させたHD-2Dのグラフィック、コマンド式ながらもブースト機能や多様なジョブによって戦略性に富む戦闘など、システムの細部まで丁寧につくりこまれていて、オーソドックスだが手堅い仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは西木康智氏。以前コナミに所属していて、現在はフリーランスの作曲家として活躍している。今までにbemaniやクイズマジックアカデミーなどに多く楽曲提供してきたが、ゲーム一本分丸ごと作曲するのは本作が初めてである。本作では八人の旅人それぞれの専用テーマ曲のほか、戦闘曲やフィールド曲もかなり充実していて、ストリングスをふんだんに用いた楽曲群は、どれもファンタジーの世界観を華やかに彩っている。また、一部のボス戦ではテーマ曲から戦闘曲へとシームレスに繋がるような特殊な仕掛けが施されていて、没入感を存分に高めてくれる。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、ピアノとバンドによるアレンジ盤も存在する。
本作ではジョブを習得するにあたって、各地に点在する祠を訪れることになるが、強力な上位ジョブを手に入れるには試練に打ち勝つ必要がある。その試練で流れるこの曲は、ややもすれば初見殺しに遭い兼ねないボスの手強さと相まって、鮮烈に印象に残る一曲である。緊迫したイントロからすでに並々ならぬ威圧感を醸し、リズミカルに響き渡るストリングスの伴奏とそこから続く低音の主旋律は、次にオクターブを変えて高音で奏でることで、有無を言わせぬ怒涛の迫力を感じさせる。さらにストリングスの勢いは留まることなく、ときに熾烈に、ときに穏やかに、緩急自在に展開していき、長丁場になりやすい過酷な戦闘を終始盛り上げてくれる。
バイオリンの持ち前の格好良さをとてもよく引き出している印象です。