VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#729 『Star Cruiser』(山中季哉/スタークルーザー/PC88)

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アルシスソフトウェアがおくる3Dアクションアドベンチャースタークルーザーより、

山中季哉作曲、『Star Cruiser』。オープニングおよびタイトル画面で流れます。

上記動画の4:02まで。

3Dシューティング、アクション、アドベンチャーRPGの複数要素を兼ね備えた本作。宇宙開拓時代、銀河連合の規模が急速に拡大するなか、一部の辺境の星系では治安が悪化、悪質犯罪者を排除する名目で賞金稼ぎのハンターたちが台頭すると、A級ハンターの主人公・ブライアンは単身で犯罪組織のアジトへ乗り込むことになる。スペースオペラ風のハードSF的な世界観と、当時まだ珍しかったポリゴン描写を最大限に駆使して表現されたグラフィックが特徴で、地上や宇宙、ダンジョンなどをアドベンチャーの要領で航行しつつ、戦闘ではアクションとシューティングの形式で、さらには自機の成長要素にて疑似的なRPGらしさも体現している。後にメガドライブやPC各種にも移植された。

本作の音楽を担当するのは山中季哉氏。当時アルシスソフトウェアに所属していた作曲家で、デビュー作のリバイバーに続き本作が二度目の作曲参加作品である。また、移植されるたびに機種に見合ったアレンジや微調整も手がけている。本作では重厚な宇宙活劇にふさわしいフューチャリスティックなFM音源サウンドが勢揃いしていて、メタリックでハードボイルドな空気感をよく表現している。サウンドトラックは同時期のアルシスのPC作品と一緒に収録したもののほか、ダウンロード配信で各機種のリマスター音源を収録したものが発売されている。

オープニングデモとそれに続くタイトル画面にて流れるのがこの曲である。真っ暗な星の海を背景に、ポリゴンを活かした立体的な映像表現と世界観の説明とが相次いで挿入され、焦らすようなイントロによってこれから始まらんとする壮大な冒険譚への期待を熾烈に募らせる。ミニマルに繰り返されるフレーズ、そこから徐々に音量を上げていき、ようやく35秒から本格的に始動すると、主旋律の悠然とした調べに、細かく煌びやかに奏でられる高音の伴奏が重なり合って、緊張感と昂揚感を一気に駆り立てる。叙情的な曲調でありながら、宇宙空間の冷たさを感じさせるようなストイックさをも終始保ち続ける。メインテーマにぴったりな骨太な一曲である。

すごく耳に残るというか、プレイヤーの心をぐっと掴んで離さないような、まさしくオープニング向きな曲ですね。