アボガドパワーズがおくるシューティングアドベンチャー・とびでばいんより、
矢野雅士作曲、『op.88 Aviator』。スタッフロールで流れます。
スケアクロウのアダルトゲームブランドであるアボガドパワーズによる18禁アクションRPG・D+VINE [LUV]の外伝作にあたる本作。旧世界の遺産を求め歩く青年・ハイドと幼馴染の少女・サクラは、再び訪れたアーヴィルの地で空中海賊による女性拉致事件に巻き込まれたことをきっかけに、ハイドは街で情報収集をし、サクラは魔法のホウキで賊を追うことになる。ハイドを操作して物語を進めたり美少女と交流したりするアドベンチャーパートと、サクラを操作して全7面を攻略するライフ制の横スクロールシューティングパートに分かれている。シューティングの難易度は4種類あり、一度クリアしたステージには戻って再挑戦することが可能で、ボムやライフを持ち越せる仕様であるため、全体的に易しくとっつきやすいバランスに調整されている。特徴的なシステムとしてルーンの存在が挙げられ、普段は自機に追尾する無敵のオプションとして機能し、使い方次第で攻撃や防御に積極的に活用することができる。具体的には盾代わりにして敵弾を無効化したり、溜め撃ちのルーンショットで強力な範囲攻撃を放ったり、ゲージ消費でルーンボムを繰り出したりする使い方がある。総じて気軽にシューティング×ギャルゲーを楽しめる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは矢野雅士氏。当時スケアクロウに所属していた作曲家である。大元のD+VINE [LUV]に引き続き本作でも単独で作曲と効果音制作を手がけている。本作では爽やかで耳馴染みしやすいシンセ系のサウンドを中心に取り揃えられている。世界観がファンタジーということもあってポップでライトな雰囲気のものが多い一方で、D+VINE [LUV]でみられた神秘的な作風はやや鳴りを潜めている。サウンドトラックには原曲音源に加えて多数のアレンジャーを交えたアレンジ音源も収録されている。
スタッフロールで流れるのがこの曲である。ダンサブルなビート、スタイリッシュなピアノ、さりげなく響くシンセストリングスとハープ、そして20秒以降でアクセントのように添えられるサックスが特徴的なエレクトロ系のナンバーである。35秒で主旋律が加わると、その伸び伸びとした音色によって軽快な雰囲気を目一杯漂わせる。勢いよくぐんぐんと突き進むなかでも、特に1分21秒から要となるフレーズを何度も繰り返して盛り上げるくだりが印象深い。その後1分52秒で一旦ピアノとシンセストリングスを聴かせる間奏が挿入され、再び2分7秒から心機一転して馴染みのフレーズが響くようになると、あらためて小気味良い気分に浸らせてくれる。最終的には甲高く突き抜けるような音色を響かせながら2分52秒でアウトロに至り、しばらく反復してから綺麗に収束する。非常に軽やかで充足感あふれる一曲である。
何とも後味の良い曲ですね。アレンジはbermei.inazawaさん担当でジャズっぽさのある粋な出来栄えです。あわせてどうぞ。