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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1442 『Jet Squadron』(小林健太郎/L.A.マシンガンズ/AC)

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セガがおくるガンシューティング・L.A.マシンガンズより、

小林健太郎作曲、『Jet Squadron』。LEVEL:01「LOS ANGELES」で流れます。

銃が備え付けられた筐体を特徴とするガンブレードNYの後継作として登場した本作。2025年、ロサンゼルスに来襲した謎のアンドロイド軍団・R.O.M.に対抗すべく、合衆国のテロ対策の切り札である最新飛行要撃部隊・S.I.F.A.Tが出動することになる。振動機構付きで弾数無制限の二丁の機関銃型コントローラーを用いて全5面を攻略していく。基本的なゲーム性はガンブレードNYと共通しているが、今回はステージ攻略の順番が難易度別に固定されておらず、最終面以外は順不同で攻略可能である。新たにコンボの概念が加わったほか、撃つと減点対象となる民間人等が紛れ込むようになり、スコア稼ぎに関わる仕様が拡充された。特筆すべきはグラフィックの美麗さと挙動の滑らかさで、再現度の高いアメリカ西海岸のステージ群でノンストップの銃撃戦を楽しむことができる。ただし連射と殲滅の爽快感を味わえるのはプレイヤーだけとは限らず、視点が動いた途端に敵弾が飛んできたり、ボス戦ともなるとミサイルが矢継ぎ早に押し寄せてきたりする。総じて一筋縄ではいかないが、激しい振動を通じて手が、そして激しい撃ち合いを通じて心も痺れるような仕上がりとなっている。後に海外限定でガンブレードNYと抱き合わせでWiiに移植された。

本作の音楽を担当するのは小林健太郎氏。当時セガに所属していた作曲家である。本作のスタッフロールでは小林名義だが、より一般的には小山健太郎名義で知られる。ガンブレードNYに引き続き作曲を手がけていて、本作ではサウンドディレクターも兼任している。前作でみられたキャッチーでクールな作風を受け継ぎつつ、本作では舞台設定を反映してSFらしい疾走感を帯びたテクノやトランス系の楽曲が目立つようになった。サウンドトラックは15周年記念にガンブレードNYの楽曲共々収録されている。

LEVEL:01「LOS ANGELES」で流れるのがこの曲である。前述の通り最終面以外は順不同で攻略できるた性質上、必ずしも最初に挑む必要はないが、物語の導入部分に直結するステージであり、比較的攻撃に対処しやすいため、ひとまずここから始めることが多いと思われる。高層ビルが並ぶロスの市街地で大統領救出に向かうシーンを彩るにあたって、冒頭から颯爽と駆けるトランス風の曲調で気持ち良く昂揚感を高めてくれる。13秒あたりからヘヴィなギターが加わって濃厚な印象が強まり、さらに19秒からサイレンが鳴り響くことで緊迫感がじかに伝わってくる。核となるフレーズを反復してある程度エネルギーが充填されると、38秒頃でシンセストリングスの伴奏が聴こえるようになり、いっそうシネマチックな興奮感に包まれる。その後も相変わらずフレーズを反復し続けるが、51秒でキーが変わって1分4秒で元に戻るなどしてメリハリをつけている。ガンガン撃って無限に盛り上がれる一曲である。

こういうの聴いていると全能感が湧いてきてユーフォリックな気分になれます。