Ubisoftがおくる2Dプラットフォーマー・Raymanより、
Christophe Héral作曲、Legendsの『Medieval Dragon』。
ワールド1のボス戦で流れます。
Ubisoftの代表作であるレイマンシリーズの本編5作目であり、日本国内では「レイマン レジェンド」として知られる本作。夢の世界を舞台に、これまで幾度となく悪夢から世界を守ってきたヒーロー・レイマンとその仲間たちは、魔法の森で見つけた不思議な絵画に吸い込まれて大冒険を繰り広げることになる。色鮮やかで茶目っ気あふれるオーソドックスな横スクロールアクションで、ぜんぶで120コース以上ある5つの世界(うち40コースは前作を復刻したもの)を攻略していく。攻撃やジャンプ、ダッシュを駆使した純粋なアクションに加えて、コースによってはシューティングに挑んだり、リズムに合わせて軽快な動きを披露したりするものがある。本作独自の要素として、冒険のお供のマーフィーを操作する場面があり、特にWii U版ではゲームパッドを介してタッチやジャイロ操作で通り道をつくったり敵を妨害したりすることができる。メインモードのほかに、日替わりで様々な課題に挑戦できるオンラインチャレンジや、カンフーサッカーという最大5人まで遊べるミニゲーム、その他雑多な収集要素が多く収録されている。とにかくボリューム満点で遊び心満載な仕上がりとなっている。後にVitaやスイッチに移植された。
本作の音楽を担当するのはChristophe Héral氏とBilly Martin氏。Héral氏はフランス出身の劇伴作曲家で、レイマンシリーズには前作のOriginsから携わっている。Martin氏は主にテレビの劇伴作曲やオーケストレーションの分野で活躍するアメリカ出身の作曲家で、レイマンシリーズには本編作品だと同じく前作のOriginsから携わっていて、スピンオフを含めるとアプリ版のFiesta RunやJungle Runでの作曲経験もある。このうちHéral氏がメインコンポーザーとして大半の楽曲を作曲している。本作では絵画風のグラフィックと親和性のあるオーケストラ調のせわしく愉しく盛り上がるサウンドが数多く取り揃えられている。複数の楽曲で共通のフレーズを用いたり、ボス戦などでは形態に応じて曲調が変化したりする工夫が凝らされている。サウンドトラックは各種デジタルストアで配信されているほか、Ubisoftの公式YouTubeチャンネルで公開されている。
ワールド1のボスであるドラゴン戦で流れるのがこの曲である。燃え盛る中世の街並みを背景に戦うボス戦であり、この曲はワールド1-1で流れる『Medieval Theme』のフレーズを引用している。冒頭から甲高く響く笛の音にオーケストラヒットやパーカッションを分厚く添えて、軽やかであると同時に重みのある独特な気迫を感じさせる。9秒から大袈裟なほどに壮大なストリングスが入ると、一気にヒロイックな雰囲気が強まる。19秒からはさらにバグパイプの鮮やかな音色が聴こえるようになり、いかにも中世の民族音楽らしい濃密な響きを生み出す。38秒以降はボス戦の第二形態で流れるもので、ストリングスやパイプを一緒くたに鳴らして切羽詰まった印象を与える。進んで1分33秒以降は第三形態、テンポを上げてパーカッションパートを長めに設けた後、1分49秒から一際力強く生気に満ちた演奏を披露する。特に2分前後になるとラッパを印象的に用いて勢いに拍車をかける。2分14秒で最高潮に達すると、華やかな合奏の傍らで口笛と思しき音色も加わって迫力満点に盛り上げる。最後に2分30秒以降は撃破後、ドラゴンの散り際にあわせてカズー(玩具のような音色を持つ膜鳴楽器)が大仰に鳴らされる。熱狂的な興奮に満ちた一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。2分40秒以降の歌声は作中では流れないはずなのでサントラ用のおまけですかね。『Medieval Theme』もあわせてどうぞ。