キュートがおくるドラマティック横スクロールシューティング・
ナツキクロニクルより、安井洋介作曲、『Mighty Magma Red』。5面道中で流れます。
エスカトスやギンガフォースで知られるQuteの新作シューティングとして登場した本作。人類が太陽系外に進出した遥かな未来を舞台に、7番目の地球型惑星・セプンティアの開拓をめぐり、MSS即応連隊RDF所属の新人女性パイロット・ナツキは厳しい任務を戦い抜くことになる。ストーリーに則って1ステージずつ攻略するクロニクルモードと、全ステージを通しプレイするアーケードモードが収録されていて、前者はシナリオ重視の性質上、ステージ中も敵味方入り乱れてフルボイスで会話したり、ステージ間で装備をカスタマイズできる点が特徴である。一方の後者は、カスタマイズ要素の代わりに道中のパワーアップアイテムを取得して強化する仕組みで、スコア稼ぎのランキング要素にも対応しているなど、同じステージ構成ながらそれぞれ独立した遊び方が楽しめる。敵弾の飛ぶ方向が可視化される弾道表示機能や、自機が被弾しても時間経過で自動回復するシールド制を取り入れるなど、初心者にも配慮した仕上がりとなっている。後にPS4とSteamに移植された。
本作の音楽を担当するのは小林和博氏と安井洋介氏。小林氏は音楽制作会社スーパースィープに、安井氏は元スーパースィープで現在はflaggsに所属する作曲家である。このうち安井氏はQute製STGではエスカトスでもギンガフォースでも作曲した経験があり、本作でもごく少数の小林氏の担当分を除き大多数の楽曲を作曲している。おなじみのFM音源を駆使したメロディアスなレトロチューンが勢揃いしていて、全編にわたってシューティングサウンドのツボを押さえた味わい深い作風を堪能できる。サウンドトラックについては、本作と世界観を共有するギンガフォースの主題歌も含めて収録されている。
全10面構成のうちの5面で流れるのがこの曲である。5面では採掘メカが暴走している地下坑道を舞台に、途中で縦スクロール的な要素が挟まれたり、下部からマグマが吹き出したりするステージを攻略することになる。そうした危険な任務のシチュエーションを第一音から力強く疾駆するイントロで彩り、20秒過ぎに主旋律が入ると、絶妙に哀愁が滲むキャッチーなクサメロが響き渡る。1分あたりで十分な盛り上がりに達し、ここからサビが入るのかと思わせつつ、一旦振り出しに戻って焦らしを利かせ、再度同じ道のりを辿った暁の2分4秒で満を持して本番のサビが入る。派手な主旋律に負けず劣らずガンガン鳴り続けるパーカッションと相まって、直球勝負で突き進む快感を見事に表現した一曲に仕上がっている。
この期待通りのブレない格好良さ、とても好きです。