小高直樹作曲、『塔・城BGM』(『メイン(塔・城)』とも)。
塔や城系のステージで流れます。
サンソフトによるファミコン向けのオリジナルアクションとして登場した本作。世を支配できる力を持つ鳥像・マドゥーラの翼をめぐって栄枯盛衰を繰り返してきたバダムの地で、マドゥーラの力を得て魔の要塞を築いたダルトスを打倒すべく、一族の使命を帯びた女戦士・ルシアが戦うことになる。全16面構成の横スクロールアクションで、各ステージは扉で区切られ、扉を開けるにはボスを倒して鍵となる玉を入手する必要がある。通常の剣による攻撃やジャンプのほかに、道中のマジックアイテムを拾えばMPを消費してボムやシールドなどの魔法を用いることができる。加えて各種パワーアップアイテムを通じて攻撃力やジャンプ力を向上させたり、HPやMPの上限を引き上げたりできるRPG風の成長要素も存在する。そのため、全体的には2D探索アクションRPGのような趣がある。この当時の作品の例に漏れず難易度はやや高めで攻略のヒントが限られるが、手堅く安定した水準にまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは小高直樹氏。サンソフト製の作品ではおなじみの作曲家である。本作はファミコン初期の作品ということもあり、氏にとってはアトランチスの謎と並んで最初期の担当作品である。本作ではファンタジーの作風に見合ったヒロイックなサウンドが揃っていて、どちらかというとダークでシリアス寄りの雰囲気のものが多い。サウンドトラックについては、ファミコン20周年記念のアルバムのなかに本作の楽曲が収録されているほか、サンソフトの作品群をまとめたコレクションなども発売されている。曲名はサウンドトラックによって表記違いがあるが、ここでは初出の表記に倣うものとする。
塔や城系のステージで流れるのがこの曲である。具体的には5面、8面、10面、11面、13面、14面、15面、16面で流れ、全体の半数を占める準メインテーマ的な立ち位置である。冒頭から非常に特徴的な、一種のヘヴィメタルのソロを彷彿させるようなフレーズで始まり、3秒から主旋律と周期的なビートが加わると決然とした力強さを帯びるようになる。16秒で長めの和音を重ねて徐々にテンションを蓄えていった後、25~32秒で再びヘヴィメタル風の怒涛のソロフレーズを奏でる。それが終わると間もなくループに突入するが、以降も勢いが衰えることなく猛々しく突き進んでいく。覚悟を決めて巨悪に対峙せんとする気迫を感じさせる一曲である。
聴いていると拳に力が入るというか、こう、みなぎってくるような格好良さがあっていいですね。