ケイブがおくるシューティング・弾銃フィーバロンより、
三沢南平・矢吹隆一作曲、『ソウルスーパーマーケット』。4面で流れます。
主に弾幕系で知られるケイブの作品群のうち、弾幕は抑えめだが高速強制スクロールする非弾幕作品として登場した本作。怪電波を纏うフィーバー星に大胆にも直進航路を取ったメルト星のグラッチェ提督は、電波の影響で妻との語らいを邪魔されたことに激怒し、フィーバー星へ攻撃を始めたため、これを迎撃すべくフィーバー星のダンサー兼パイロットが戦うことになる。全5面構成、8方向レバー+2ボタン制の縦スクロールシューティングで、開始時に3種類の機体(1点集中型、3WAY型、広範囲型)とパワフルショット、4段階の移動速度から選択する。パワフルショットはショットボタン長押しで放つサブウェポンのことで、低威力だが触れた敵を狙い続けるロックオン型、ミサイルで爆風を起こすボム型、自機の周囲に光球を展開してボタンを離すと発射できるロール型がある。稼ぎ要素としてS.O.Sシステムが搭載されていて、敵を素早く撃破すればするほど多く出現するサイボーグ兵士を画面外に逃がす前に仕留めると、それに比例して敵のスコアが上昇する仕組みである。とにかくゲームテンポが速い点が特徴で、そのうえ作風はやたらファンキーで、プレイ中に絶えずノリノリな英語ボイスが流れるため、独特な濃さが漂っている。珍妙だけどしっかりシューティングの精神が感じられる怪作に仕上がっている。後にPS4とXboxOneに移植された。
本作の音楽を担当するのは三沢南平氏と矢吹隆一氏。作中のスタッフロールにはサウンド欄にて矢吹隆一氏、Quark Company、T's Musicがクレジットされている。矢吹氏は本作の作曲者として扱われることもあるが、主として効果音の担当らしく、基本的には三沢氏が作曲しているらしい。三沢氏に関する情報はすくなく、正体は判然としない。また、PS4・XboxOne移植版では新たに春日達彦氏によるFM音源アレンジと、chibi-tech氏によるVIPアレンジが収録されている(両名とも移植版開発元のエムツーに所属するサウンドクリエイターである)。本作ではミラーボールが輝いてダンスエナジーが充満する奇天烈な世界観にあわせて、音楽も80年代ダンスカルチャーを反映したご機嫌なディスコサウンドが揃っている。サウンドトラックには音質調整を施したうえで未使用曲やボイス・SEコレクションなども含めて収録されている。
4面で流れるのがこの曲である。曲名に反して別にスーパーマーケットが舞台のステージというわけではなく、宇宙空間を進んだ先で猛攻を仕掛けてくる敵基地を叩くことになる。ただ曲調はたしかに買い物に合いそうなハッピーでウキウキした雰囲気が感じられる。歯切れ良く奏でられる電子オルガン、艶と渋味を添えるベース、9~10秒でみられるような5連続の派手なオーケストラヒットなどを絡み合わせることで、おのずと踊れるグルーヴ感を生み出す。25秒からはシンセストリングスをバックに加えてさらに華やかさを増し、良い意味で古臭くて大袈裟で、それがかえって味わい深く響くような印象を与える。とりわけ締めの部分にあたる52~54秒は強い躍動感が漂っていて、身も心も魂さえも揺さぶる力がある。ダンサブルでソウルフルな一曲である。
FMアレンジは曲名の後ろに東亜MIXと付けたくなります。VIPアレンジは多少時代が近付いた気がしますが相変わらずのオールドスクール感ですね。あわせてどうぞ。