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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1385 『SNOWFIELD STORY』(永田大祐/ZANAC × ZANAC/PS)

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コンパイルがおくるシューティング・ザナックより、

永田大祐作曲、ネオの『SNOWFIELD STORY』。6面で流れます。

コンパイルの代表作であるザナックシリーズの最終作にあたる本作。初代ザナックを移植したモードと、それを基にした新作・ザナックネオを収録した二本立てのカップリング作品である。前者は86年発売のファミコンディスクシステムバージョンの他に、87年発売の海外版をベースにしたROMバージョン、本作用に敵や武器を見直して難易度を激化させたスペシャルバージョン、同じく本作用に稼ぎに焦点を当てたスコアトライアルを遊ぶことができる。後者は旧作の特徴である高速スクロール、8種類に及ぶ多彩なサブウェポン、状況に応じて可変する難易度といった基本的な要素を受け継ぎつつ、システム、グラフィック、ゲームバランスなどを現代的に再構築している。全9面(0面も数えると実質10面)構成の縦スクロールシューティングで、自機は3種類、機体ごとにサブウェポンの性能が異なる。旧作にない特徴として、ゲージ消費で放てる強力なチャージショットが追加され、敵に当てると周囲の敵も巻き込んで連鎖爆発を起こすことができる。また、全体的に無敵時間が伸びてミスからのリカバリーがしやすくなっていて、旧作らしさを残しつつも一味異なるプレイ感と爽快感を味わえる。新旧ともにザナック漬けの楽しさに浸れる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは田中勝己氏、永田大祐氏、林康氏。いずれも当時コンパイルに所属していた作曲家である。本作では旧作に関しては海外版準拠の音源がそのまま使用されていて、新作のネオではリミックス曲も一部含まれるが基本的に新曲が用いられている。新曲はキャッチーでスピーディーなシリーズサウンドの方向性を踏襲したドラムンベース系のものが多く、心を奮い立たせてくれる粒揃いの楽曲群を楽しむことができる。サウンドトラックは未発売だが、作中にサウンドテストが搭載されているほか、予約特典としてメドレー化したものが存在した。

ザナックネオのAREA 6「BLIZZARD」で流れるのがこの曲である。吹雪の舞う山と要塞を越えていくステージである。揺さぶるように響くワブルシンセを軸に、エレクトリックピアノやシンセストリングスを組み合わせて冷涼な温度感を形成する。冒頭からしばらくは音色や打楽器を散りばめて雰囲気づくりに専念し、22秒からピアノのメインメロディーとドラムによるリズムパターンがはっきりと聴き取れるようになる。ふんわり揺蕩うように掴みどころがなく、それでいてしっかりと耳に馴染むような独特な味わいがあり、似たり寄ったりのフレーズが続くなかで継続的に気持ち良い聴き心地をもたらしてくれる。1分半あたりでメインのピアノが途絶えたところであまり大きな曲調の変化はないが、1分42~48秒の間だけピンポイントで短いクワイアが入る点が印象深い。それから間もなく、自然と融け込むようにして1分53秒からまた冒頭に戻ってループに至る。疾走感と落ち着きのバランスが良く、癖になる一曲である。

吹雪なのでひんやりなんて次元ではないと思いますが、この曲はなんだか氷枕みたいな心地良いひんやり加減がありますね。