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#1425 『EDF, roll out!』(福田淳/地球防衛軍5/PS4)

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ディースリーパブリッシャーがおくる3Dアクションシューティング・地球防衛軍より、

福田淳作曲、5の『EDF, roll out!』。主に優勢時に流れます。

異星生命体と熾烈な攻防を繰り広げる地球防衛軍シリーズのナンバリング5作目にあたる本作。2022年、突如として襲来してきた巨大な異星生命体・プライマーに対抗すべく、全地球防衛機構軍・EDFの兵士となって戦うことになる。大まかな設定やゲーム性はシリーズの伝統を受け継いでいるが、本作では世界観を一新し、主人公が民間人から始まってシナリオ描写が強化されている点、敵勢力として恒例の昆虫群に加えて人型エイリアンが登場する点など、目新しい要素が多い。何より特徴的なのが豊富なボリュームで、100を超えるミッション数、初期3つ+クリア後2つの計5段階の難易度、4種の個性的な兵科、1000もの武器や装備、最大4人のオンライン協力プレイが用意されている。同じ武器でもグレードとカスタム値によって性能が異なる、いわばハクスラ風のルート要素が導入されたほか、使用中の兵科のみならず他兵科の武器も入手できるようになった。グラフィック面では画面いっぱいに敵が押し寄せる臨場感が向上し、良い意味で気色悪さを催す蠢きや飛沫描写があり、ひたすら撃ちまくる爽快感に磨きがかかっている。兵科間のバランスや視認性、処理落ちなどの雑味はあるが、たっぷりどっぷり遊べる力作に仕上がっている。後にSteamに移植された。

本作の音楽を担当するのは高田雅史氏と福田淳氏。いずれもシリーズおなじみのフリーランスの作曲家である。高田氏は初代から、福田氏は3から連綿と作曲に携わっている。本作では重厚さと勇壮さで特徴付けられるシリーズの音楽性を概ね踏襲しつつ、今まで以上にオーケストラと電子音を巧みに組み合わせたハイブリッドでスリリングなシンフォニックサウンドが目立つようになった。また、過去作からのアレンジ曲が含まれたり、エンディングではEDF隊員の合唱が流れたりする点も印象深い。サウンドトラックについては、シリーズ20周年記念として歴代楽曲をまとめたサウンドコレクションに本作の楽曲が収録されている。

ミッション11「天空の炎」やミッション83「アーケルス撃滅計画」などにおいて、主に優勢時に流れるのがこの曲である。ただしあくまで主に、であり、優勢から一転して形勢不利に追い込まれるような展開もすくなくない。そのような使われ方を踏まえてか、この曲は全編を通して自信過剰と言えるほど絶好調な勢いを帯びている。出だしから力強く打ち鳴らされるドラムに、ストリングスとブラスが紡ぐ豪快なアンサンブルが絡み合い、異様に昂った凄まじいテンションを生み出す。19秒から入るメインメロディーは直球の熱さとキャッチーさがあり、管楽器の華やかな音色の傍らで、24~25秒などで弦楽器が躍動感たっぷりにざわめくことで、ひたすら派手な曲調のなかでうまくメリハリをつけている。とりわけ45秒以降で主役のバトンを弦楽器に渡し、高音域を中心に爽やかで瑞々しい旋律を奏でるくだりは一際気持ち良く、1分15秒頃にもなると限界を超えた盛り上がりをみせる。その後も疲れ知らずの演奏を披露し続け、1分45秒にはエレキギターの見せ場が、2分5秒には再びオーケストラの見せ場が、2分18秒にはあらためてギターの見せ場が待ち受ける。たとえ向かうところ敵だらけでも果断に突き進んでいく破格のエネルギーに満ちた一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。『勝利の兆し』という通称で知られていた曲ですね。アレンジは管楽器を控えめにしてドラム成分を強めた6の『EDF, roll out! - EDF6 -』、逆に管楽器成分を強めたデジボクのバージョン(オーバードライブ時に3種のアレンジあり)があって、どれも聴き応え十分です。あわせてどうぞ。

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