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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1372 『THUNDER CLAP』(長谷川武宏/機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY/SS)

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機動戦士ガンダム」を原作とする、

バンダイがおくる3Dシューティング・THE BLUE DESTINYより、

長谷川武宏作曲、『THUNDER CLAP』。

外伝1のステージ5をはじめとする複数の場面で流れます。

ガンダムのゲーム化作品のうち、セガサターン向けに1996年から97年にかけて発売された外伝三部作をワンパッケージにまとめた本作。一年戦争末期、モビルスーツの運用データ収集を担う実験部隊、通称モルモット隊に所属するユウ・カジマは、作戦中に敵味方区別なく襲う謎の蒼い機体に遭遇したことをきっかけに、数奇な戦いの運命を辿ることになる。三部作とも各5ステージから成る一人称コクピット視点のシューティング(FPS)である。一年戦争当時の世界観や機体を再現しつつ、ストーリーやキャラ、主役機などは本作オリジナルである。ステージごとに作戦内容に沿って機体を駆り、マシンガンやバルカン、近接のビームサーベルをはじめとする様々な武器を使い分けながら攻略していく。重厚な物語と没入感のあるゲーム性が特徴で、ポリゴン描写はやや粗いものの、デザイン、動き、戦場の空気感などの魅せ方に説得力がある。三部作の本編ディスクのほか、セット特典としてデータベースや攻略ムービー等を搭載したスペシャルディスクが付属されている。実際に操縦する立場でガンダム世界に入り込める仕上がりとなっている。後に外伝作品群を集めたPS3のサイドストーリーズに、ジャンルを三人称視点のアクションに調整したうえで収録された。

本作の音楽を担当するのは長谷川武宏氏。主にクラシックの分野、特にマンドリンオーケストラを中心として音楽監督・指揮を手がけている作編曲家である。ゲーム音楽の担当経験はおそらく本作のみで、外伝三部作とも通しで単独で作曲している。外伝ごとにそれぞれ曲が用意されているというわけではなく、外伝三作を一括りの作品としてみてそこに劇伴を付けているような形式であるため、外伝1~3をまたいで複数の場面で同じ曲が用いられる例もすくなくない。金管楽器や打楽器を印象的に用いたミリタリー色のある壮大なオーケストラサウンドが揃っている。サウンドトラックについては全曲収録のものは未発売だが、一部だけサイドストーリーズの限定盤付属のサントラに収録されている。

外伝1のステージ5、外伝1・2のスタッフロール後の次回予告、外伝3のステージ2と4のアバンなどで流れるのがこの曲である。急速にざわめく管楽器のイントロから始まり、次いで3秒頃から非常に特徴的な金属音が鳴り響くことで、たちまち焦燥感を充満させる。その甲高い金属音はさながら電鐘式の踏切警報音のような響きがあり、危険な状況にあることを瞬時に印象付ける。8秒頃から金属音は一旦抜けるが、代わりに打楽器が勢いよく響き、ピアノが重低音を奏で、管弦楽器が切羽詰まった合奏を紡ぐことで、相変わらず油断ならない雰囲気が漂い続ける。23秒から澄んだトライアングルの音色が加わるのとあわせて再び例の金属音が姿を現す。その後しばらく流れが沈静化するが、44秒頃から勇壮なブラスの旋律が入ると徐々に盛り返していき、ちょうど1分あたりで頂点に達すると、これ見よがしに金属音が暴れ出す。金属音が目立つなかでも、1分29~33秒でオルガンが一時参戦したり、1分39秒から弦楽器、1分45秒からは入れ替わるようにして管楽器に見せ場が与えられたりして、他の楽器群も相応の存在感を醸し出している。だがこれでもまだ盛り上がり足りないようで、1分50秒からやたら長く張り詰めた高音を鳴らした後、2分4~11秒で怒涛の短音連発フレーズを披露する。迅雷の如く激しく予測不能な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。いくつかアレンジありますが、金属音の迫力、耳に迫ってくる感じは原曲が一番強いですね。EXVSの『戦慄のブルー』、サイドストーリーズのアレンジもあわせてどうぞ。

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