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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1373 『Shibuya Survivor』(石元丈晴/新すばらしきこのせかい/NS・PS4)

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スクエニがおくるアクションRPGすばらしきこのせかいより、

石元丈晴作曲、新の『Shibuya Survivor』。

WEEK 2 / DAY 7のフィールドや、イーリスカンタス戦などで流れます。

現代の渋谷でデスゲームに挑むDS向けアクションRPGすばらしきこのせかいの14年ぶりの新作にあたる本作。前作の騒動から3年後を舞台に、男子高校生の主人公・リンドウは友人のフレットと渋谷で遊んでいたところ、いつの間にか死神のゲームに巻き込まれ、チームを組んで生き残りを賭けた戦いに身を投じることになる。若者文化を色濃く反映した作風や、3Dセルルックに刷新しつつもコマ割りやフキダシなどコミック風のエッセンスを残した映像表現、曲者揃いのキャラが織り成す二転三転する物語など、前作で醸成されたユニークな雰囲気は本作でも健在である。DSの2画面から単画面になったことで操作感や画面構成が大きく変わったほか、2人1組で展開した前作と異なり、本作では大人数のチーム制に変更された。これに伴い、探索および物語上のギミックとして、過去へ遡行する、他人の物忘れを思い出させるなど、キャラごとに固有のサイキックを発動させられるようになった。また、戦闘ではコントローラの各ボタンに対応するように最大6人まで同時操作する、せわしくも全能感を味わえるシステムを採用している。ストーリードリヴンな都合上、封鎖や遠回りが多いほか、ロード時間がやや長いなど、ところどころ緩慢な点があるが、地続きの正統続編として堅実に練り込まれた仕上がりとなっている。後にPCに移植された。

本作の音楽を担当するのは石元丈晴氏。フリーランスの作曲家で、以前はスクエニに所属していた。前作に引き続き本作でも単独で作編曲を手がけていて、すばせかシリーズサウンドの生みの親として、独創的な世界観を形成・定着させるうえで欠かせない役割を担っている。前作同様、渋谷のストリートにフィットするようなボーカル入りのアーバンミュージックが多く取り揃えられていて、ジャンルはヒップホップ、ロック、メタルなど多岐にわたる。前作のアレンジやリミックスを効果的に使用している例もある。また、シリーズ恒例の要素としてゲーム内でCDを入手・再生できて、楽曲ごとのフレーバーテキストが充実している点も印象深い。サウンドトラックは3枚組で収録されている。

WEEK 2 / DAY 7のフィールド曲として、また対イーリスカンタスの戦闘曲として、複数の場面で流れるのがこの曲である。作中のCD曰く「アンダーグラウンドなギターサウンドブレイクビーツにのった寛やかなボーカル/全てが絶妙に絡み合うシリアスなナンバー」である。センチメンタルな響きを帯びたピアノと抑鬱的なベースが奏でるイントロで始まり、12秒頃から高速で刻むビートを交えて疾走感を蓄えていく。35秒で気だるげだけど芯のある英語ボーカル(唄:ふくい舞)が加わると、ますますアンニュイであると同時にドラマチックな雰囲気に磨きがかかっていく。ボーカルと入れ替わるようにして1分24秒からインストの勢力が強まり、再び唄が載る1分35秒からはボーカルも伴奏も一緒くたになって激しく、しかし激しすぎない程度に、適度な匙加減で盛り上がる。二番目に突入すると歌詞は異なるがメロディーは概ね同じで、サビ後半の3分47秒以降に追加で長めにリフレインしている。フレーズ終わりの4分11秒で区切りよく、だがいささか急に、イントロに回帰してループに突入する。鮮やかだけどじれったいような、尾を引く味わいのある一曲である。

こういうリキッドドラムンベースは好きです、心に染み付いて離れない良さがありますね。ちなみに歌詞は作中のキャラにも言及してそうな内容で、滔々と人口や人間模様について歌い上げているようですね。