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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1176 『Relic Maze 2』(Woofle/Freedom Planet/PC)

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GalaxyTrailがおくる横スクロール2Dアクション・Freedom Planetより、

Woofle作曲、『Relic Maze 2』。STAGE 2の後半で流れます。

アメリカのインディークリエイター・Stephen DiDuro率いるGalaxyTrailのデビュー作にあたる本作。獣人が暮らす惑星・Avaliceを舞台に、無限のエネルギーを秘めたKingdom Stoneを手中に収めて宇宙征服を企むLord Brevonを止めるべく、三人の少女が立ち向かうことになる。高速で駆け抜けるアクション、ビビットカラーのレトロ風グラフィック、坂やシャトルループといった緩急豊かなコース設計が特徴の2Dプラットフォーマーで、全編を通してメガドライブ時代のソニックの影響を色濃く受けている。プレイアブルキャラの性能は三者三様で、ドラゴン娘のLilacはダッシュや二段ジャンプなど汎用性に優れ、ネコ娘のCarolは蹴り技やバイク乗りなど機動性に優れ、イヌ娘のMillaは飛び道具や空中浮遊など独創性に優れる。ストーリーはフルボイス(英語)でそこそこシリアスな路線で、難易度の高さやギミックの豊富さと相まって骨太なボリューム感を誇る。タイムアタックやコレクションなど寄り道要素も充実していて、往年のアクションの雰囲気をよく捉えた噛み応え満点な仕上がりとなっている。後に日本語に対応したうえでPS4とスイッチにも移植された。

本作の音楽を担当するのはStephen "Strife" DiDuro氏とLeila "Woofle" Wilson氏。feat.という扱いでShane "BlueWarrior" Ellis氏とDawn Michelle Bennett氏(主人公の声優)も携わっている。Strife氏はGalaxyTrailの主宰で、作曲のみならず開発全般の責任者である。Woofle氏はアメリカ出身のフリーランスの作曲家で、レトロ系のシンセポップを得意とする。BlueWarrior氏はCobaltBW名義でも知られ、主にゲーム音楽のリミックスやカバーをおこなっている。本作ではレトロ寄りな作風にあわせて、90年代を意識したキャッチーでメロディアスなサウンドが揃っている。また、作中の世界観は和や中華を融合させたアジアンテイストな側面があるため、なかにはオリエンタルな響きを持つ曲も含まれる。サウンドトラックはBandcampやSteamのDLC経由でデジタル配信されている。

STAGE 2 "Relic Maze"の後半、地下の水晶窟で流れるのがこの曲である。前半で流れる『Relic Maze 1』のアレンジで、曲冒頭から鉄琴かチャイムのような金属音を駆使し、きらり輝く幻想的な雰囲気を目一杯漂わせる。非常にキラキラした印象を与える主旋律の秀逸さはさることながら、地味に心地良く響くベースギターが魅力的で、20~22秒のようにフレーズの合間を縫ってセンスの良さを窺わせる。直後にはシンセストリングスの派手やかな音色が加わり、34秒からはハープが、48秒からはエレキギターが相次いで参戦してどんどん盛り上がっていく。全体的に華やいだ趣があるが、金属系の音色を織り交ぜることで終始ミステリアスな空気感を保ち続け、かすかに東洋を連想させるような独特な神秘を生む。遺物の眠る水晶窟というステージ内容にぴったりな、煌びやかな臨場感に満ちた一曲である。

具体的にどのへんが東洋を連想させるかあまり自分でもはっきり分かりませんが、なんとなく金属音の響きがガムランっぽいんでしょうかね。『Relic Maze 1』もあわせてどうぞ。

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