レトロスタジオがおくるアクション・ドンキーコングリターンズより、
後田信二・田島賢・濱野美奈子・松岡大祐・山本健誌編曲、『サンセット海岸』。
同名のステージで流れます。
ドンキーコング64以来11年ぶりとなる正統続編として、それまで開発を務めたレア社に代わりレトロスタジオが手がけている本作。64では3Dアクションだったが、本作では初代のスーパードンキーコングに倣って横スクロールに復帰し、いっそう歯応えが増した死に覚え型の難易度にあわせてシリーズで初めてライフ制が導入された。全8エリア+隠しエリア1つという構成で、一つ一つのステージが遊び甲斐のある長さと完成度を誇る。二人プレイにも対応していて、ドンキーとディディーをそれぞれ操作することができる。後に3DS向けに立体視を搭載したうえで新モードを追加した移植版が登場した。
本作の音楽を担当するのはミュージックスーパーバイザーの山本健誌氏をはじめ、後田信二氏、田島賢氏、濱野美奈子氏、松岡大祐氏の計五名である。五名とも販売元である任天堂に所属する作曲家たちである。スーパードンキーコングシリーズはレア社のDavid Wise氏やGrant Kirkhope氏(両名ともすでに退社済み)など、長らく海外の作曲家がサウンドを担うことが多かったが、本作ではいずれも国産となっている。主に既存の過去曲のアレンジを中心に、11年の時を経て大幅に進化したグラフィックや演出に見合った良質なサウンドが取り揃えられている。サウンドトラックは今はなきクラブニンテンドーの会員特典としてのみ入手可能で、残念ながらそちらでは未収録の曲もすくなくない。
1-4のサンセット海岸で流れるのがこの曲である。スーパードンキーコングにおける1-1のバナナジャングルをはじめとする複数のステージで用いられる『DK Island Swing』(Wise氏の作曲で、曲名は『JUNGLE LEVEL』とも)をアレンジしたものである。シリーズの代表曲とも言える『DK Island Swing』の、そのスウィングの効いたグルーヴィーなサウンドに、アレンジに際してスムーズジャズの成分をトッピングすることで、イージーリスニング調に仕上げている。サンセット海岸は夕暮れの逆光に照らされてステージ全体が影絵のような見た目になるという特殊な演出方法をとっているが、そうした乙なステージにぴったりなシックでエレガントな雰囲気に満ちた一曲である。
本作ではこの曲以外にも同じく『DK Island Swing』をアレンジした楽曲が各種揃えられていますが、これが個人的に一番おすすめです。原曲もあわせてどうぞ。