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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1392 『PANTHER IN THE STORM』(skankfunk/クロヒョウ2 龍が如く 阿修羅編/PSP)

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セガがおくるアクションアドベンチャー龍が如くより、

skankfunkこと長沼英樹作曲、クロヒョウ2の『PANTHER IN THE STORM』。

秋田靖人との戦闘で流れます。

極道の世界を描く龍が如くの派生作品であるクロヒョウシリーズの2作目にあたる本作。神室町での地下格闘場の戦いから約1年後、大阪の蒼天堀を本拠とする地下格闘技団体・阿修羅の台頭により古巣が壊滅の危機にあると知った右京龍也は、仲間と誇りを守るべく再びリングに上がることになる。前作同様、暴力を軸とした熱いドラマと派手なバトルを特徴とするなかで、神室町と並んで新たに蒼天堀が舞台に加わった点と、相棒と協力してタッグで喧嘩できるようになった点が目新しい。探索範囲が広がってプレイスポットやサブストーリーが拡充されたほか、本筋の物語に関しても東西の事情や裏で蠢く陰謀など相応にスケールアップされた。戦闘については格闘技メインのアクションは健在で、新要素として掴んだ敵を相棒に投げてツープラトン技を放ったり、敵を壁に叩きつけてウォールヒートを繰り出したり、ステージを破壊して開けた穴(窓ガラスなど)に敵を投げ捨てて一発KOを決めたりできるようになった。また、新たなバトルスタイルやスキルなども追加されている。総じて前作を踏襲しつつシステム面、シナリオ面ともに強化された仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは@2(渡辺篤弘)氏、DJMASE(間瀬真生)氏、Daniel Lindholm氏、LSI氏、Hyd Lunch、metalmouse、skankfunk(長沼英樹)氏、Wall5(谷丙午)氏、white white sisters、YOSHITSURU(鶴由雄)氏、ZENTA(土橋善太)氏、赤羽根謙二氏、秋山泰氏、齋藤久師氏、斎藤悠弥氏、田中俊裕氏、米田望氏、若林友一氏。当時の情報でWall5氏、@2氏、DJMASE氏、LSI氏は音楽制作会社SPACEWALKER所属、斎藤氏、田中氏、若林氏はサウンドドライブ所属、YOSHITSURU氏はコンポジラ所属である。Hyd Lunchは松崎泰之氏と渡辺博昭氏によるユニット、metalmouseは国内のテクノユニット、white white sistersは名古屋のエレクトロバンドである。赤羽根氏はロックバンド・ZEPPET STOREのギタリスト、齋藤氏は国内シンセ界の重鎮、Lindholm氏はスウェーデン出身の作曲家、skankfunk氏は元セガ所属のフリーランス、秋山氏はいくつかのセガ製の作品に携わっている作曲家、米田氏とZENTA氏はフリーの作曲家である。シリーズの例に漏れず大所帯で、このうちHyd Lunch、skankfunk氏、Wall5氏、DJMASE氏は前作から引き続きの参加である。骨太で芯のあるギターサウンドを中心に多数の戦闘曲が用意されているほか、湘南乃風による主題歌や各種カラオケ曲も収録されている。サウンドトラックについては、一部の戦闘曲を収録したアナログレコードが数量限定で発売されたことがある。

秋田靖人との戦闘で流れるのがこの曲である。秋田は阿修羅の発足当初からのリーダーで、今でこそ阿修羅は悪質な犯罪集団と化しているが、かつては真っ当な理想を抱いていた。物語終盤に戦い、彼の半生と胸中を知ることになる。この曲は前作の日向翔との戦闘で流れる『THE NAKED PANTHER』(同じくskankfunk氏の作曲)のリミックスであり、両者はともに高いカリスマ性を持つ人物である。エレキギターの刻み方やドラム捌きは類似しているが、イントロの17秒間で執拗に繰り返されるメインリフはこの曲独自のもので、哀愁と激情が入り混じったような濃い悲愴感を漂わせる。その後はしばらく打楽器がストイックに鳴らされるが、34秒頃から主旋律が入ると再び悲愴な響きが強まっていく。55~56秒や1分1~2秒でまるで急ブレーキをかけるような特徴的なフレーズを挿入して聴き手の注意を惹き付け、その直後に1分5秒からサビを配置することで耳に残る絶大なインパクトをもたらす。屈強で剛胆な演奏を披露するなかでも確実にギターが泣いていて、それが修羅道であろうと突き進むしかない彼の生き様をまざまざと表現しているかのようである。只ならぬ覇気に満ちた一曲である。

圧倒される格好良さですね。『THE NAKED PANTHER』もあわせてどうぞ。

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