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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1393 『THEME OF CAPTAIN AMERICA』(角田裕子/MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER/AC)

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Marvel Comicsのスーパーヒーローたちをモチーフとする、

カプコンがおくる対戦格闘ゲームMARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTERより、

岩井隆之作曲・角田裕子編曲、『THEME OF CAPTAIN AMERICA』。

キャプテン・アメリカのテーマとして流れます。

カプコン製のキャラと他社のキャラを交えたコラボ対戦格闘のVS.シリーズのうち、Marvel参戦作品の第2弾にあたる本作。魔人・アポカリプスの野望を打ち砕くべく、ストリートファイターの格闘家たちとMarvelの様々なヒーローたちがタッグで戦うことになる。Marvel側からはキャプテン・アメリカウルヴァリンら8キャラ+隠し3キャラ、カプコン側からはリュウや初参戦のさくらなど9キャラ+隠し3キャラ、さらにテレビ番組に連動したオリジナルのゲストキャラが1人が参戦している。対戦は2対2の交代制で、前作のゲームシステムを概ね踏襲するなかでも本作向けに新要素が加わっている。具体的には控えのパートナーが固有の援護攻撃をおこなうヴァリアブルアシストと、ストリートファイター3からの輸入となるスタンゲージが導入された点が大きい。また、必殺技のハイパーコンボでフィニッシュした場合に技名を読み上げてくれるナレーション演出が加わった。前述のオリジナルゲストキャラを中心にネタ路線が目立つ一方で、キャラも動きもつくり込まれていてお祭り感を味わうことができる仕上がりとなっている。後にセガサターンやPSに移植された。

本作の音楽を担当するのは岩井由紀氏と角田(現姓は竹原)裕子氏。いずれも当時カプコンに所属していた作曲家である。両名とも前作から引き続きサウンドを担当している。本作ではオリジナル曲も相当数収録されているが、クロスオーバーという性質上、一部のキャラのテーマ曲などで過去作のアレンジが使用されている。大きく分けてストリートファイター陣営は新曲、Marvel陣営はMARVEL SUPER HEROES(作曲は岩井隆之氏、岩井由紀氏〈当時は旧姓の里村名義〉、鈴木達郎氏)からのアレンジである。アレンジは角田氏が手がけたようで、原曲のヒロイックな勢いを保ちつつ、全体的に本作のムードに見合ったカラッと明るい雰囲気が強調されるようになった。サウンドトラックはライナーノーツ付きで短いジングルも含めて収録されている。

キャプテン・アメリカのテーマとして、彼のステージで流れるのがこの曲である。MARVEL SUPER HEROESの『CAPTAIN AMERICA Stage』(作曲は岩井隆之氏)の正統派アレンジである。冒頭5秒ほどイントロが加わった点と、音色の響きが調整された点が特徴的である。原曲の力強くも悲哀が漂う雰囲気はそのままに、すこし音色の光沢を抑えて重低音の迫力が増すようになった。15秒から奏でられる主旋律は勇ましいが派手すぎず、裏でオーケストラヒットやベースラインが堅固に支えているからこそ、その相乗効果で芯のあるパワフルな聴き心地を生み出している。34秒からエレキギターを鳴らし、ブラスを添え、間断なくオケヒやパーカッションを刻んで盛り上げていくさまは原曲でも共通してみられるが、44秒以降のサビにおける主旋律と伴奏の融け込み具合、電子オルガンと思しき音色の味わい深さはこのアレンジ特有の魅力である。音の隅々までヒーローらしさが染み込んだ一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。本作以降でもいくつかアレンジがありますが、今回扱ったこのバージョンと原曲が個人的には最もしっくりきますね。原曲もあわせてどうぞ。

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