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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1353 『Variant Cross』(M-UE/Muse Dash/iOS・And・PC・NS)

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PeroPeroGamesがおくる音楽ゲームMuse Dashより、

M-UE作曲、『Variant Cross』。「音ゲー依存症 Vol.9」の収録曲の一つ。

中国のデベロッパー・PeroPeroGamesの代表作にあたる本作。可愛い女の子を操作し、音楽に合わせて迫りくる敵を蹴散らし障害物を避けて完走を目指すことになる。ランアクションとリズムゲームを掛け合わせたゲーム性が最大の特徴で、上下二段で右から左へ流れてくる敵や障害物(一般的な音ゲーにおけるノーツ)をタイミングよくタップすることで撃退・回避していく。ホールドや連打、同時押し、姿を消す敵などの特殊なギミックもあるが、基本的には上段か下段に自機を動かすという2種類の操作に集約されているため、シンプルで親しみやすいつくりである。たとえ精密にリズムが取れなくても、覚束ない操作でも敵を避けて自機のHPが最後まで残っていればクリアできる仕組みである。一方で、高難度譜面はしっかりと激しく処理能力を試されるバランスに調整されている。作風はビビッドカラーを強調して美少女萌えを押し出した雰囲気で、周辺要素として実績やお宝など各種やり込み系の遊びが充実している。手軽であると同時に極め甲斐もある仕上がりとなっている。

本作ではVer 3.5.0時点で450曲以上収録されている。デフォルトで約60曲収録されていて、アップデートを通じて新たな有料楽曲パックが配信される形式である(スイッチ版は追加パックも含めてすべてプレイアブル)。楽曲の傾向は、中国や日本などアジア圏のアーティストを中心として、EDMやユーロビートKawaii系のボーカル曲(主として中国語だが、日本語もある)、BMS由来の楽曲など、いかにも音ゲーとの相性が良いアガるラインナップが揃っている。なかでも追加パック「音ゲー依存症」はBMS楽曲を大きくフィーチャーした内容で、本作が初出ではないものが多い。例外的に、音ゲー中心に楽曲を制作している国内コンポーザーのM-UE氏が新曲を提供している(厳密には本作用の書き下ろしではないが、本作が音ゲー初収録である模様)。サウンドトラックについては網羅的に収録したものは存在しないものの、スイッチの限定版にミニアルバムが付属されたことがある。

2020年7月に追加された楽曲パック「音ゲー依存症 Vol.9」の収録曲の一つがこの曲である。本人談でSUPER HYPER ULTIMATE COREをリスペクトしたと語る通り、200を超えるBPMで展開する高速ハードコア・ナンバーである。イントロから前のめりで攻撃的な勢いをみせ、英語音声を交えて盛り上げていき、9秒頃で "3, 2, 1, let's go!" と早口の掛け声が入ると、それを皮切りにますます痛烈な疾走感を帯びるようになる。18秒からは低い男声(ちょうど『DADDY MULK』を彷彿させるような声)が加わってさらに強烈な印象を与え、28秒以降で強く歪む際にも独特な存在感を放つ。開始からほぼノンストップで圧の強い曲調を披露してきたが、46秒で耳に優しい雰囲気に転じる。しかし勢いは依然として歯止めがかからず、55秒から再び圧を強め、頂点に達する1分4秒で満を持して "Coming down" と歌うと、目が醒めるような聴き心地を生む。怒涛のビートと高い女声の英語ボーカルが絡み合うことで、凄まじいノリと迫力を生み出している。最初から最後まで激しく魅せてくれる一曲である。譜面に関しては声ネタに合わせてガンガン攻めてくる、率直だが慌ただしい出来である。

SUPER HYPER ULTIMATE COREといえばUSAOさんの『BroGamer』、格好良さの権化みたいな曲ですね。あわせてどうぞ。

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