ナグザットがおくるシューティング・ダブルリングより、
松下寿志・森島大祐作曲、『STAGE 4』(仮称)。4面で流れます。
後のサモンナイトシリーズで知られるフライトプランが初期に開発した作品にして、ナグザットが販売を手がけた本作。新世紀の宇宙を舞台に、未知の新物質を狙う異次元獣軍・ゼクーによって蹂躙された人類は、宇宙戦闘機・スパイラスを駆って反撃することになる。周回ありの全6面から成る横スクロールシューティングで、パワーアップ状態だと自機にリング状のシールドが付属する点が特徴である。このシールドは被弾や地形接触を防ぐだけでなく、敵弾を弾き返す性能もあり、道中の攻略に重宝する。操作体系は8方向移動とショットボタンと自機のスピード調整のみと簡素だが、ショットは取得したパワーアップアイテムに応じて5種類×2通りに変化するため、シンプルながらもバラエティ豊かなゲーム性を楽しめる。また、通常のプレイで選べる3つの難易度に加え、特定のコマンドを入力することでさらに15段階、あわせて18段階の難易度が搭載されているなど、遊びの幅が非常に充実している。一見して自機の当たり判定が把握しづらく、敵弾が背景の色味に溶け込んで視認性が担保されない点には歯がゆさがあるが、多彩なつくり込みが光る仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは松下寿志氏と森島大祐氏。いずれも当時ナグザットに所属していた作曲家で、本作を皮切りに90年代頃はよくタッグを組んで作曲にあたっていた。本作ではテンポの良いレベルデザインにあわせて、音楽もテンポ感を重視した小気味良いものが揃っている。好調な勢いを感じさせるメロディーラインに、小刻みに音階を上り下りする鮮やかな伴奏を組み合わせることで、シューティングらしい疾走感を生み出している。道中で流れる曲はもちろん、各ボスにも専用の戦闘曲が設けられていて、全体の楽曲数が豊富に用意されている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
4面で流れるのがこの曲である。冥王星を舞台に、サイバー感のある研究施設のような場所を進んでいくことになる。そうしたなか、イントロから独特なぎらつきと広がりのある音色を鳴らすことで刺激的な雰囲気を形作る。13秒から入る主旋律は、冒頭から鳴り続ける派手なフレーズと比較すると控えめで落ち着いた響きを帯びているが、それがかえってモチベーションを駆り立ててくれるような程よい緊張感を醸している。40秒頃でにわかに流れが変わると、44秒から主旋律が一気に存在感を増して精緻な高音を鳴らすようになる。さらに畳みかけるように49~51秒で高速のトリルを披露し、当初の控えめな印象は瞬く間に逆転する。ループ間際になっても見せ場は続き、1分前後で一際リズミカルに音色を散りばめることで、一種前衛的とも言える味わい深さを感じさせる。音の一つ一つに怪しさと格好良さが染みついた一曲である。
このノリとこの音色の鳴らし方、すごく好みで、聴いていると後頭部が火照るような恍惚感があります。