VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#833 『ヤマブキー山』(磯部文弘・金﨑猛・後藤重満/ペーパーマリオ カラースプラッシュ/WiiU)

www.youtube.com

任天堂インテリジェントシステムズがおくるアクションアドベンチャー

ペーパーマリオより、磯部文弘・金﨑猛・後藤重満作曲、『ヤマブキー山』。

同名のコースで流れます。

ペーパーマリオシリーズのうち、通算5作目、アドベンチャー系列の作品としては前作・前々作に引き続き3作目にあたる本作。今度のマリオは、色が抜け落ちる現象が多発するイロドリアイランドを舞台に、色ヌケを修復できる力を持つ相棒・ペンキーと共に冒険することになる。真っ白く色ヌケした部分をペンキハンマーで塗りつぶすことで色と機能を修復し、新たな道を見つけたり仕掛けを解いたりして攻略してく。戦闘システムはカード要素とアクション要素が融合していて、行動に必要なカードを選択し、ペンキを消費してカードを塗りつぶし、いざアクションへ、という仕組みである。ユーモラスな世界観と、紙と色をテーマにした作品ならではの個性的なギミックの数々とが相まって、そこそこ手堅くまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは磯部文弘氏、金﨑猛氏、scatgotoこと後藤重満氏の三名。金﨑氏はインテリジェントシステムズに所属する作曲家で、後藤氏は音楽制作会社Flarewaveのメンバー、磯部氏はおそらくフリーランスである。この他、任天堂所属の近藤浩治氏もサウンド監修として関わっている。本作では全体的にジャズテイストだった前作に比べ、ジャズもあるが室内楽民族音楽的なもの、なかにはチップチューンまで、曲数の多さに比例してバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売だが、作中の博物館にあるサウンドギャラリーで条件を満たすと楽曲が解禁されて試聴できるようになっている。

ヤマブキー山はイロドリアイランドの中心地からほど近いところにある、仙人が住む山で、比較的序盤に訪れることになるコースだが、そこで流れるのがこの曲である。山吹色の美しくも荒涼とした景観にふさわしく、笛と掛け声と木琴とが絡み合って独特な寂寥感を漂わせる。伴奏にはシタールと思しき撥弦楽器を据え、絶妙な哀愁を帯びたその豊潤な音色が、主旋律をいっそう華やかに引き立たせる。心躍るような愉快なリズムでありながら、奏でる楽器の組み合わせにより不思議と切なく響くような、そんな一曲である。

旅の楽しさとすこしの物悲しさみたいなものがすごくよく出ている印象です。ちなみに読みはヤマブキーサンではなくヤマブキーヤマです。