VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1154 『Strike Enemy』(上田絹代・水谷郁/メダロット2 カブト/クワガタ/GBC)

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ナツメがおくるRPGメダロットより、

上田(山下)絹代・水谷郁作曲、2の『Strike Enemy』。ロボロボ団幹部戦で流れます。

メダロットシリーズのナンバリング2作目にしてゲームボーイカラー対応作品として登場した本作。前作から7年後を舞台に、ひょんなことからメダルとロボット(メダロット)を手に入れた少年・天領イッキは、壊滅したはずの悪の組織・ロボロボ団に立ち向かうことになる。基本的な世界観やゲーム性を前作から受け継ぎつつ、主にグラフィックやシナリオ面を強化し、全体的なボリュームを充実させることで、正統にブラッシュアップされた。戦闘における新要素として、ゲージ消費で装着しているメダルに対応する必殺技を放てるメダフォースというシステムが搭載されたほか、オート機能が追加される、バトルテンポが改善されるなど、様々な調整が施されている。また、通信交換および対戦も健在で、シリーズ2作目にして各要素が十分に揃った仕上がりとなっている。後にパワーアップキット版のパーツコレクションが登場したほか、GBA向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは上田絹代こと山下絹代氏と水谷郁氏。上田氏は前作から続投しているシリーズおなじみのフリーランスの作曲家で、初参戦の水谷氏は当時ナツメに所属していた作曲家である。本作ではGB音源を活かした、ときに明るく、ときに熱く、ときに不気味さもある個性的な楽曲群が揃っている。本編のボリューム増に伴って曲数も増加していて、特に前作では個別の楽曲が用意されていなかったボス戦に専用曲が付いた点が大特徴である。サウンドトラックについては、発売から20年後にGB作品群のサウンドを網羅したものが受注生産で登場した。

ロボロボ団の幹部との戦闘で流れるのがこの曲である。前述の通り、シリーズ初となる中ボス戦専用のBGMで、イントロから小刻みに音階を上り下りするメロディアスな反復を用いることで、一気に真剣勝負の舞台へと引き込まれるような、シリアスかつシャープな臨場感を生む。9秒あたりで、それまでじっくりと四つ打ちのビートを刻んでいたドラムが勢いづくと、メロディーやテンポ自体は変化していないものの、曲全体が加速するような印象を与える。ほとんど同じフレーズの繰り返しで構成される曲で、17秒頃でこそ一時的に異なる旋律を奏でるが、10秒足らずで元通りの反復に戻り、そのまま早くもループへと突入する。イントロ部分を除くと実質的に15秒弱でループするほど短いが、非常に耳に残る鮮烈なインパクトを持つ一曲である。

言わずもがなの秀逸な戦闘曲ですね。2コアのGBA音源アレンジもいいですよ。原曲とはまた一味違う、ざらっとした聴き心地が大好きです。あわせてどうぞ。

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