Story Fort LLCがおくる対戦型バスケットボールバトル・Dunk Lordsより、
Laura Shigihara作曲、『Abandoned Mansion』。同名のコートで流れます。
インディーゲームスタジオ・Story Fort LLCのデビュー作にあたる本作。バスケットボールプレイヤーのSliceは、ダンクの王者を目指して苛烈な試合に臨むことになる。2対2のチーム対抗で、スラムダンク(ゴールに直接ボールを叩き込んで得点する動き)に焦点を当てた豪快なゲーム性が特徴である。最大4人までのローカル対戦を楽しめるアーケードモード、勝ち抜き4連戦でハイスコアを競うガントレットモード、物語に沿って進めるストーリーモードが収録されている。プレイアブルキャラは16人、人間も異生物も機械もなんでもありな世界観で、殴ったり吹っ飛ばしたりはもちろん、相手を瓶詰めにして妨害する、レーザーを撃つ、サルをけしかけるなど、キャラごとにユニークな能力が備えられている。コート自体もギミック豊かで、キャラが巨大化するパワーアップ要素や、特殊効果を持つギア(装備)なども充実している。バスケの皮を被ったカオスな乱闘とも言えるような独創的なノリを持つ仕上がりとなっている。後にスイッチやXbox Oneに移植された。
本作の音楽を担当するのはLaura Shigihara氏。日系アメリカ人のシンガーソングライターで、ゲーム音楽方面では主にインディーズの分野で活動している。本作では氏の持ち味である落ち着きのあるエレクトロニカ系のサウンドが揃っていて、エクストリームな試合内容とは裏腹に、じっくり静かで、それでいて絶妙にキャッチーな雰囲気を漂わせている。サウンドトラックは各種デジタルストアで配信されていて、主題歌や勝敗のジングルなども含めて収録されている。
Abandoned Mansionで流れるのがこの曲である。その名の通り廃屋を舞台にしたコートで、見た目が昏いだけでなく背景でしきりに雷鳴が轟くことから、いかにもホラーテイストな空気が充満している。イントロからミステリアスに響くピアノや電子音、怪しい効果音を組み合わせることで、ホラーっぽい雰囲気をいっそう没入感たっぷりに印象付ける。全体的に不吉ではあるが、かなりはっきりとパーカッションパートが響くため、自然と耳馴染みするような愉快なノリを感じさせる。リズムに寄り添うように、タンバリンやハンドクラップ、鐘の音、ギロと思しき擦ったような音色をうまく取り入れることで、そのどれもが非常に軽快で心地良い響きを生む。不穏な曲調ながらも不思議と心が弾むような一曲である。
何か形容しがたい気持ち良さがありますね。こういうの好きです。