HandMade Gameがおくる新感覚スライドパズルゲーム・
ROOMS: The Main Building(不思議な動く部屋)より、Rob Westwood作曲、
『Welcome to the Rooms』。タイトル画面で流れます。
韓国のインディーゲームスタジオ・HandMade Gameの代表作として登場した本作。バラバラになった部屋を上下左右にスライドさせて繋ぎ合わせ、出口を目指して脱出することが目的のパズルゲームである。マス目状に配置された部屋のパネルを動かす、いわゆるポイント・アンド・クリック形式のスライディングブロックパズルで、さらにそこに梯子や電話、地下鉄など、パネル間を瞬間移動できるギミックも搭載されている。パズルと謎解きの両方の要素を堪能できる仕上がりとなっている。後にWiiとDSに移植され、日本国内ではハドソンより「不思議な動く部屋」という副題で発売されている。
本作の音楽を担当するのはRob Westwood氏。イギリス出身の作曲家で、映画の劇伴やゲーム音楽を中心に手がけている。HandMade Gameの作品では本作以降、続編のThe Toymaker's Mansion(おもちゃ職人の邸宅)およびThe Unsolvable Puzzleでも引き続き作曲している。本作では真夜中のロンドンを舞台としていて、屋敷内とはいえ公衆電話や地下鉄が利用できるなど、現地の街並みを再現していることから、それに見合ったクラシック調のエレガントでアンニュイな楽曲が揃っている。サウンドトラックはおそらく未発売(情報不足のため要確認)だが、WiiおよびDS版で追加された、自作のステージを作成できるエディットモードにて、ゲーム内で用いられた任意のBGMを選択できる仕組みとなっている。
タイトル画面で流れるのがこの曲である。鉄琴によるミステリアスなイントロから始まり、そこに時を刻む秒針の音が加わり、両者のテンポが微妙にすれ違って不協和な雰囲気を醸し出す。40秒以降、主旋律となるピアノが挿入されると、怪しげでおぼろげな空気感を保ちつつ、ようやく統一感のあるハーモニーを生み出す。1分半からはフルートやバイオリン、トランペットやシンバルなども参加して本格的なオーケストラサウンドへと変身し、その後もメランコリックな響きを帯びながら派手な盛り上がりをみせる。最終的には時鐘と思しき音色で締め括ることで、奇妙に反響し続けるような余韻を残す。心地良くも不安定な、独特な奥深さに満ちた一曲である。
作曲者本人は本作の楽曲全体について"vague clichés(曖昧でありきたり)"と客観的に分析してますが、それが見事に作品に嵌っている感じがします。序盤のレベルで流れる、メインテーマ的な扱いの『The London Rush』もその好例でしょう。あわせてどうぞ。