MTOがおくるカーシミュレーション・OPTIONチューニングカーバトルより、
岡村静良・古川清英作曲、『DIVE FOR THE VELOCITY』。谷田部サーキットで流れます。
三栄書房のチューニング情報誌・OPTIONとのタイアップ企画で登場した本作。実在の国内チューニングショップ11社の協賛で1200点以上のパーツを自分好みに組み合わせてレースに挑むことになる。クルマを題材にしたゲームのなかでも特にチューニングの醍醐味を強調している点が特徴的である。物語に沿って資金繰りしながらライバルと競うシナリオモードと、自由なチューニングでレースを楽しめるアーケードモードが収録されている。マシンによって選べるチューンショップが異なり、ショップごとに得手不得手があるなかで、エンジンやサスペンションなど細かく弄って調整していく。オープニング映像や解説役の登場人物は実写取り込みで、肝となるレース画面やマシンの挙動はやや粗削りだが概ねリアル路線と言える。コースは湾岸、筑波、峠、谷田部の4種類で、数は限られているがチョイスや再現度には光るものがある。総じてこぢんまりとしているがコンセプトに見合ったこだわりが感じられる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岡村静良氏と古川清英氏。岡村氏は音楽プロダクション・SWYM STANDARD PRODUCTIONSを主宰しているサウンドクリエイターである。古川氏に関しては情報がすくないが、岡村氏とMISPATHZというユニットを組んでいたようである。スタッフロール上では「古川浩英」となっていてサウンドトラック上の名義が一致しない点には留意が必要である。本作の楽曲を制作するにあたって、曰く「ロックの持つエモーショナルな部分とエレクトリックミュージックの覚醒された部分」を融合していて、ドライブに誂え向きなスカッとするようなバンドサウンドが揃っている。サウンドトラックにはボーナスアレンジや効果音集、ムービー音声なども含めて収録されている。
谷田部サーキットで流れるのがこの曲である。今はもうないが最高速試験に使われるテストコースとして有名な高速周回路である。シンプルな楕円形だがコース中には特徴的な45度バンク(円曲線部の傾斜)も再現されていて、作中ではライバルと400m一本勝負など極端に短いレースに用いられることがある。そうしたなか、冒頭からヘヴィでダイナミックなエレキギターを鳴らしてぶっちぎる勢いを感じさせる。イントロ明け7秒以降は力強く粘り強い旋律を奏で、スピーディーかつスリリングかつストイックな演奏を披露する。しばらく似通ったフレーズを反復した後、38秒から新たな展開をみせて荒々しいノリを生み、やがて46秒頃にはラジオか無線を思わせるような英語音声が加わる。豪快な曲調でありながら淡々とした印象があり、純粋に速度を極める潔さやこだわりが感じ取れる。とりわけ1分9秒から奏でられるグルーヴィーなフレーズには独特な気持ち良さがあり、曲後半にはスペーシーな音色も取り入れて響きに深みと広がりを持たせている。ひたすら速さを求める貪欲さが音から伝わってくる一曲である。
こういう曲を聴くと元気になりますね。みなぎる感じがいいです。