スパイクチュンソフトがおくるハイスピード推理アクション・ダンガンロンパより、
高田雅史作曲、2の『イコロシア』。捜査パートで流れます。
超高校級の才能を持った選ばれし高校生が生き残るために生徒同士でコロシアイをするダンガンロンパシリーズのうち、ナンバリング2作目として登場した本作。前作と同様、希望ヶ峰学園を舞台に、今度は修学旅行先の南国のリゾート地・ジャバウォック島からの脱出するために、コロシアイとそれに伴う学級裁判をおこなっていく。曲者揃いのキャラクターやショッキングなシナリオは本作でも健在で、裁判パートでは新要素として必要なキーワードを推理する閃きアナグラム(改)や、相手の反論を次々と一刀両断する反論ショーダウンなどが追加されている。総じて前作に引けを取らぬスリリングなミステリーとアドベンチャーを体感できる仕上がりとなっている。後にVitaやPS4、PCに移植されたほか、前作とあわせて1+2のカップリング版も発売された。
本作の音楽を担当するのは高田雅史氏。フリーランスの作曲家で、ダンロンシリーズには前作に引き続き単独で作曲している。世界観に見合ったサイケデリックな曲調が多く揃っていて、シリーズ全体のコンセプトである希望と絶望が、お互い相反する性質を持ちながらも見事に絡み合っている。特に本作はサイコトロピカルというテーマに基づいて、舞台が前作の閉鎖的な学園とは違って開放的な島(とはいえミステリーにおけるクローズド・サークルの典型であるため、依然として閉鎖された空間であることには変わりない)に設定されているため、シリアス調のもののみならず愉快な作風のものもすくなくない。サウンドトラックは主題歌や一部の楽曲の8bit・16bit版も含めて収録されている。
捜査パートで流れるのがこの曲である。怪しげなチップチューンのイントロから始まる洗練されたテイストのジャズナンバーで、徐々にピアノやブラスの洒落た音色を加えることで表情豊かな旋律を紡ぐ。華やかな主旋律の裏で、時折シンセパッドが包み込むように響いたり、電気ピアノがさりげなく寄り添ったりすることで、独特な浮遊感と中毒性を生む。ちょうど1分頃で流れが変わると、胸騒ぎを起こさせるような不穏な、それでいて不思議とノリの良い間奏を奏でる。以降、1分半過ぎの開放的なフレーズや、2分過ぎのシンセパッドの見せ場などでも引き続きノリの良さを維持すると同時に、油断できない不審な響きを保ち続ける。聴けば聴くほどのめり込まれてしまいそうな癖のある一曲である。なお、ストーリー後半ではこの曲のアレンジ版である『エコロシア』に切り替わり、エレキギターの暴力的な轟音によってさらに威圧感を添える。
曲名は一文字ずらしで、アレンジで名詞から命令形になって暴力性が一気に増すのがいいですね。『エコロシア』、あわせてどうぞ。