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#294 『トーバス』(山本健誌/メトロイドプライム2 ダークエコーズ/GC)

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レトロスタジオがおくるファーストパーソンアドベンチャーメトロイドプライムより、

山本健誌作曲、2の『トーバス』(仮称)。水底に眠る神殿トーバスで流れます。

遠未来を舞台としたハードコアアクション・メトロイドシリーズのうち、アドベンチャー要素とファーストパーソンシューティング要素を取り入れたメトロイドプライムの続編にあたる本作。隕石の衝突により惑星・エーテルの時空が歪み、同一座標上に光と闇の二つの次元が出現、闇の勢力によって光が蝕まれるなか、サムス・アランは任務のためにエーテルに派遣され、光と闇をめぐる戦いに巻き込まれることになる。探索時は光と闇の二つの世界を行き来しつつ、双方の世界で連動する仕掛けを解いていく。戦闘時は敵やビームにまで二属性が設定されていて、光と闇の徹底された世界観のなかでのスリリングな戦いを味わうことができる。欧米では日本よりも半年早く先行販売されていて、後にWiiにも移植されている。

本作の音楽を担当するのは山本健誌氏。任天堂に所属する作曲家である。前作では久場浩一氏との共作だったが、本作では単独で作曲している。山本氏は続編の3でも作曲に携わっていて、本家シリーズも含めてメトロイド全体のサウンドの方向性を形作った立役者と言っても過言ではない。前作同様、本作の楽曲はいずれもどことなく無機質で不気味なものが多く、同じマップでも光と闇とで別アレンジが用意されている。曲名の大半は未判明であるため、ここでは便宜上の仮称を用いる。

ライトエーテル側に属する水底に眠る神殿トーバスで流れるのがこの曲である。今でこそ神殿が丸ごと水没した広大な湿地帯となってしまったが、かつては一面に森が広がる豊かな土地だった場所である。止むことなく降り続ける長雨に晒される場所を、ダークエーテル側の闇のトーバスとも共通する、アンビエント系の朧げな曲調で彩る。暗澹としているが浮遊感もある独特な音色が、不安に苛まれながらやみくもに探索を進める感覚を表している。胸騒ぎにも似た只ならぬ気配を漂わせている一方で、ずっと聴き浸りたくなるような矛盾した安寧をも感じさせる不思議な一曲である。

2004年初出扱いは欧米の発売年にあわせています。闇のトーバスは悪夢っぽさが増している、と言いますか、よりダークな、より環境音楽然としたアレンジになっています。あわせてどうぞ。

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