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#146 『全ての人の魂の戦い』(目黒将司/ペルソナ3/PS2)

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アトラスがおくるジュブナイルRPG・ペルソナより、

目黒将司作曲、3の『全ての人の魂の戦い』。ラストバトルで流れます。

ペルソナシリーズのナンバリング3作目にあたる本作。深夜0時過ぎ、1日と1日の間に隠された影時間に蔓延る謎の怪物・シャドウに襲われた主人公ら月光館学園の生徒たちは、心に宿る異能・ペルソナ能力を開花し、シャドウ退治を担う特別課外活動部に所属することになる。前作までのオカルト重視な作風を一新し、ポップなジュブナイルものに仕上がっていて、システム面でも学園生活を満喫するコミュニティが追加されるなど、大幅な変更と革新が施された。以降のシリーズの方向性を決定づけた作品である。後にアペンドディスクとしてフェス、PSPへの移植版としてポータブルも発売された。

本作の音楽を担当するのは、当時アトラスに所属していた目黒将司氏。1曲のみの参加だが宇田洋輔氏(作曲家ではなく広報担当者)も作曲している。目黒氏はおなじみペルソナサウンドの生みの親である。本作では、戦闘曲をはじめ、様々なシーンでボーカル曲を積極的に取り入れることにより、当時としては斬新な、今までにないスタイリッシュな音楽を生み出すことに成功した。目黒氏お得意のギターと、川村ゆみ氏、小宮知子氏、Lotus Juice氏のセンセーショナルなボーカルを組み合わせることで、シリーズの世界観を見事に反映した良曲揃いとなっている。サウンドトラックはオリジナルのもの、フェス・ポータブルの追加曲を収録したもの、アレンジ盤など、複数種類存在する。

シリーズ通してベルベットルームのメインテーマである『全ての人の魂の詩』。その戦闘曲アレンジにして、ラストバトルという絶好のシチュエーションで流れるのがこの曲である。原曲の美しさはそのままに、戦闘という場面に合わせて情緒あふれるロックナンバーに仕立てることで、すべてのプレイヤーの魂を震わすほどの魅力を持つ。エレキギターやパーカッションによる激しい音色と、ピアノ、ストリングス、コーラスによる儚い音色をフュージョンさせた、その退廃的な旋律は、シリーズ独特の終末思想を色濃く滲ませている。

『全ての人の魂の詩』とこの曲、比べて聴くことでさらに美しさに磨きがかかるような気がします。というわけで原曲の……せっかくなので3で使われるバージョンをどうぞ。

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