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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#145 『Venice Rooftops』(Jesper Kyd/アサシン クリード II/PS3・X360)

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Ubisoft Montrealがおくるステルスアクション・アサシンクリードより、

Jesper Kyd作曲、2の『Venice Rooftops』。競争ミッションで流れます。

アサシンとなって実在の街並みを駆け巡り、標的を暗殺していくアサシンクリードの続編として登場した本作。12世紀のエルサレムを描いた第1作から一転、今度はルネサンス真っ盛りの15世紀のイタリアを舞台に、没落貴族のエツィオ・アウディトーレは、冤罪で処刑された父と兄の仇討ちのためにアサシンとなり、復讐に生きることになる。時代の変遷に伴って通貨の概念が登場したり、装備の種類が増えたりするなど、世界観に合わせた新システムが取り入れられていて、レオナルド・ダ・ヴィンチら史実でも馴染み深い人物と交流することもできる。栄華を極める文化運動、その背景に見え隠れする歴史の闇、街中を駆ける爽快感あふれるアクションと相まって、オープンワールドの面白さが凝縮された仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはJesper Kyd氏。前作に引き続き作曲している、デンマーク出身のフリーランスのコンポーザーである。氏は後のBROTHERHOOD・REVELATIONS(こちらはLorne Balfe氏と共作)とあわせてエツィオ三部作すべてに参加している。独特な趣のあるルネサンスの時代に沿った、壮大ながらも影のある悲愴なサウンドが揃っていて、ステルスアクション特有の静謐さと、殺しを生業とするアサシン特有の過激さの両面が楽曲のなかで融合している。サウンドトラックは2枚組で発売されている。

競争ミッションで流れるのがこの曲である。ターゲットを追走または先回りするミッションを彩るにあたって、電子音やギター、ストリングスを軸としたスピーディーでスタイリッシュな音色が鮮やかに響き渡る。素朴でしっとりとしているが、同時に緊張を煽るアコースティックギターの旋律が、ストリングスとコーラスの張り詰めたアンサンブルと混ざり合うことで、競争というシチュエーションにふさわしい切羽詰まった空気感を漂わせる。淡々とした曲調だが、どこか急いているようにも聴こえる絶妙な音色によって、過度に生き急ぐルネサンスの人々を彷彿させる一曲である。

とても心地良い曲ですね。