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#338 『V3議論 -SCRUM-』(高田雅史/ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期/PS4・PSV)

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スパイクチュンソフトがおくるハイスピード推理アクション・ダンガンロンパより、

高田雅史作曲、V3の『V3議論 -SCRUM-』。議論スクラムの際に流れます。

学園に閉じ込められた生徒たちが、生き残りをかけてデスゲームを繰り広げるダンガンロンパシリーズのナンバリング3作目にあたる本作。ギフテット制度により集められた超高校級の16人の生徒たちは、謎のぬいぐるみ・モノクマとその子分・モノクマーズが支配する才囚学園でコロシアイに励むことになる。サイコクールをテーマに、それまでの世界観を一新し、新たな舞台、新たな登場人物、新たなシステムを取り入れている。あえて嘘を吐いて矛盾のない発言すら論破する偽証や、2チームに分かれて意見をぶつけ合う議論スクラムなどが特徴的で、とりわけ終盤にかけてのシナリオの癖が非常に強い。激しいセンセーションを巻き起こすほどの意欲作に仕上がっている。後にStemやスイッチなどに移植された。

本作の音楽を担当するのは高田雅史氏。ダンガンロンパシリーズおなじみの作曲家で、本作においても全曲を単独で作曲している。新章突入という節目を迎えた本作では、サイコクールというテーマに沿って、よりいっそうスタイリッシュさに磨きをかけた楽曲が多く、既存曲の大胆なアレンジも大きな見どころである。サウンドトラックはシロとクロで二種類あり、ぜんぶで100曲以上、CDは計5枚にも及ぶことからも、音楽に対する並々ならぬこだわりを窺わせる。

議論スクラムで流れるのがこの曲である。前述の通り、議論スクラムとは学級裁判において生徒たちの意見が真っ二つに割れた際に発生するイベントで、一見噛み合っていないように感じられる両陣営の発言の話題を擦り合わせていくことを目的とする。そうした特殊な場面をサイケデリックな浮遊感あふれるアシッド・ハウス調で彩る。30秒ほどでテンションが高まると、脳に直接訴えかけるような鮮烈でノリの良い音色を紡ぐ。過剰なほどに同じフレーズを繰り返すことで、引きずり込まれるような没入感を生むなかで、曲後半の2分35秒以降はキーが上がり、ますます勢いに歯止めがかからなくなる。集中力と推理力を極限まで引き出し、昂揚感たっぷりな気分に浸らせてくれる一曲である。

高田さんのつくる曲はこのままずっと聴き入りたくなるような中毒性が高いものが多いですよね。シリーズの作風にぴったりです。