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#631 『A Total War』(海田明里/ロックマンエグゼ5 チーム オブ ブルース/チーム オブ カーネル/GBA)

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カプコンがおくるデータアクションRPGロックマンエグゼより、

海田明里作曲、5の『A Total War』。

ファクトリーの電脳およびココロサーバーの電脳で流れます。

ロックマンの派生シリーズ・エグゼのナンバリング5作目として、発売日は異なる(カーネル版がブルース版より3ヶ月遅れた)ものの2バージョンで登場した本作。悪の組織ネビュラに乗っ取られたインターネットを解放すべく、ブルースあるいはカーネル率いるチームに所属して事件を解決していく。占領されたインターネットエリアを取り戻すには、ロックマンのみならず他のナビたちも操作して、リベレートミッションなるターン制シミュレーション風のチーム戦を勝ち抜くことになる。バージョンの違いはチームメンバーが異なるほか、ストーリーの細部、特にクライマックスに変化があり、後に両バージョンを統合した完全版のツインリーダーズがDS向けに登場した。

本作の音楽を担当するのは海田明里氏。当時カプコンに所属していた作曲家で、ロックマンエグゼシリーズには初代(単独)と4.5(堀山俊彦氏と共作)に参加している。また、DS版の編曲は高野充彦氏が手がけている。本作でもシリーズの例に漏れずサイバーチックなエレクトロニックサウンドが揃っていて、原曲のGBA音源もアレンジのDS音源もどちらもハードの特性を活かした聴き応えのある仕上がりとなっている。サウンドトラックは本作単体では存在しないが、4~5を収録した音楽大全集や5DSと6を収録した音楽大事典が発売されている。

ネビュラの本拠地たるファクトリーの電脳と、その先でプラグインできるココロサーバーの電脳で流れるのがこの曲である。いわゆるラストダンジョンにあたる電脳空間で、その悲愴感あふれる旋律と緊張感あふれるアルペジオの伴奏によって、イントロからしてすでに最高潮の盛り上がりをみせてくれる。どこまでも鮮やかに響き渡る高音と、ソリッドな重厚感を漂わせる低音の組み合わせが、リズミカルなパーカッションとあわさって、最後の戦いに向けて気持ち良く士気を高めてくれる。30秒からは丸みを帯びた音色が主旋律を務めるようになり、低めの音域から始まって徐々に音程が上がっていき、最後は鮮やかな高音を響かせながら1ループを締めくくる。まさに曲名が意味するところの総力戦にふさわしい力強さを誇る一曲である。

DS版は軽快でポップな色合いが強まった印象で、GBA版の直球な情熱と比べて、静かに闘志が燃えるようなイメージです。あわせてどうぞ。

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