VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1244 『FIRE FIELD』(海田明里/バトルネットワーク ロックマンエグゼ/GBA)

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カプコンがおくるデータアクションRPGロックマンエグゼより、

海田明里作曲、初代の『FIRE FIELD』。レンジの電脳で流れます。

ロックマンの派生作品であるエグゼシリーズの第1弾であり、GBAのローンチタイトルとして登場した本作。ネットワークの急速な発達により、ネットナビという疑似人格プログラムを有する携帯端末が普及した世界を舞台に、ウイルスバスティングが得意な小学5年生の少年・熱斗は、相棒のネットナビ・ロックマンとともに、ネット犯罪集団・WWWに立ち向かうことになる。ロックマンシリーズ伝統の横スクロールアクションを軸としたゲーム性とは異なり、世界観もシステムもオリジナル要素が多い独自の作風が特徴である。現実と電脳世界を行き来し、前者では熱斗を操作して探索を、後者ではロックマンを操作してウイルス退治(バトル)をおこなっていく。バトルは自陣・敵陣あわせて縦3×横6マスのエリアで展開し、30枚1組のフォルダに格納されたバトルチップと呼ばれるパーツを組み合わせて戦うトレーディングカードゲーム的なシステムを取り入れている。また、通信ケーブルを介した交換や対戦にも対応している。斬新だが納得感のある設定と、親しみやすく熱中度の高い遊び心地がうまく融合した仕上がりとなっている。後にDS向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは海田明里氏。当時カプコンに所属していた作曲家である。ロックマンエグゼシリーズには本作を単独で担当したのち、4.5および5でも作曲している。また、DS版リメイクでは青木征洋氏が編曲を手がけている。本作ではGBA音源を駆使したキャッチーで近未来的なサウンドが揃っていて、メロディーの格好良さ、世界観との親和性などもまた本シリーズの大きな魅力の一つである。シリーズ初作らしく、本作の楽曲のなかには以降の作品で再三アレンジされるものも含まれる。サウンドトラックについては、1~3の楽曲をまとめて収録した音楽大全集や、シリーズ20周年を記念して網羅的に収録したサウンドBOXが存在する。

レンジの電脳で流れるのがこの曲である。最初の本格的なダンジョンで、原因不明の火を噴く自宅の電子レンジに入り込んで異常を調べることになる。サイバー×炎モチーフの空間を彩るにあたって、情熱的でありながらクールでもあるような、絶妙な温度感のある旋律を奏でる。ぐいぐいと引っ張ってくれるメロディアスな主旋律に、パーカッションともどもグルーヴィーなノリを生み出すベースライン、高音域でそっと鳴らされるシンセパッドが絡み合うことで、使命感を駆り立てると同時にスタイリッシュな印象を与える。14秒から流れが変わって主旋律が高音を響かせると、しばらくは前向きな勢いを帯びるようになるが、フレーズの締めにあたる21~27秒では明るさより泣きメロっぽさが強調される。その後はAメロに再帰し、ループに入ったかのように見せかけて、41秒から新たにパーカッションやベースを前面に押し出した間奏パートが挿入される。実際に1ループが終わるのは55秒あたりである。適度に熱く適度に哀愁めいた、独特な緊張感が走る一曲である。

セルフオマージュ的な感じなのか、5の戦闘曲『バトルスタート!』『パワフルエネミー』がこの曲に似ているんですよね。あわせてどうぞ。

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