VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#014 『ゲルドの谷』(近藤浩治/ゼルダの伝説 時のオカリナ/N64)

www.youtube.com

任天堂がおくるアクションアドベンチャーゼルダの伝説より、

近藤浩治作曲、時のオカリナの『ゲルドの谷』。

ゲルドの谷などの砂漠地帯で流れます。

ゼルダシリーズのなかでも初の3D作品として登場した本作。コキリの森に住む少年・リンクは妖精のナビィの導きのもと、ハイラルに迫る危機に立ち向かうべくハイラル王家の家宝である時のオカリナを手に冒険を繰り広げることになる。3Dグラフィックで表現された広大な世界が特徴で、Z注目に代表される革新的なロックオンシステムや巧みなカメラワーク、冒険心を煽る仕掛けの数々とが相まって、3Dアクションの礎を築いたとされる仕上がりとなっている。後にゲームキューブ3DSにも移植された。

本作の音楽を担当するのは近藤浩治氏。任天堂に所属する作曲家で、ゼルダシリーズには初代から参加しているシリーズサウンドの生みの親である。本作ではハードが64に移行して初めての作品ということもあり、グラフィックとあわせて音楽も一段とパワーアップしている。物語の鍵となるオカリナはもちろん、様々な楽器の音色がリアルに表現されていて、同じ曲でも複数のフレーズを用意してランダムに組み合わせて再生したり、戦闘の状況や時間帯によってシームレスに曲調が変化したりするなど、インタラクティブな工夫が随所に凝らされている。サウンドトラックはオリジナル音源のもののほかにも3DS音源のものやアレンジ音源のものなど複数種類発売されている。

ゲルドの谷で流れるのがこの曲である。物語終盤に訪れる場所で、盗賊を生業とし、百年に一度しか男が生まれないという特性を持つ砂漠の民・ゲルド族の地である。砂漠という立地、そこにしたたかに生きる民の屈強さの両面を、どことなく哀愁を帯びた民族調で見事に表現している。後ろのほうでカチカチと鳴るカスタネットに、アコースティックギターのスタイリッシュな旋律を載せ、ところどころ砂漠に吹き荒ぶ西風を体現したかのように響くラッパの音色を加えることで、独特な寂寥感を漂わせている。砂漠の情景がありありと思い浮かぶような、切なくも鮮やかな一曲である。

原曲のほかに、アレンジだとスマブラforにある濱本理央さんによるドラマチックな編曲が印象的です。生音を駆使した叙情的なアレンジで、間奏でオカリナが響くところがとても素敵です。あわせてどうぞ。

www.youtube.com