メディアビジョンがおくる荒野と口笛のRPG・ワイルドアームズより、
ヴァイスハイト戦で流れます。
西部劇とSFが融合したワイルドアームズシリーズのうち、初の携帯機用の作品として登場した本作。荒廃しつつある惑星ファルガイアを舞台に、元老院による民への圧政で苦しむエレシウス王国を救うべく、死んだはずの王女と瓜二つの少女・クラリッサは、身分を偽って建国騎士団・ブランクイーゼルを率いて戦うことになる。本作では従来とは異なり、ジャンルはシミュレーションRPGに変更されたが、戦争と後継を主軸に据えた熱いシナリオは、ジャンルが違えどワイルドアームズらしさを遵守した堅実なつくりとなっている。戦闘面ではバトル開始前に敵の情報を確認できるDERというシステムが導入されているなど、SRPGに不慣れでもじっくり攻略できるような配慮が徹底されている。
本作の音楽を担当するのはElements Gardenの四人(上松範康氏、菊田大介氏、藤田淳平氏、藤間仁氏)と甲田雅人氏。前作で不参加だったWAサウンドの要であるなるけみちこ氏は、オープニングとエンディングの作詞で活躍している。本作はシリーズ最多の作曲陣からなるバラエティ豊かな楽曲群が魅力で、特に戦闘曲を中心に、ストリングスをフィーチャーしたダイナミックなサウンドが数多く揃っている。サウンドトラックは主題歌も含めて収録されている。
作中幾度も対峙することになる謎多き武器商人・ヴァイスハイトとの戦いで流れるのがこの曲である。ストリングスとピアノとシンセが見事な融合を果たした疾走感あふれる曲調に仕上がっていて、さながらトランスかダンス・ミュージックのような印象を与える。メロディーラインの秀逸さもさることながら、随所で小気味良く響くビートと組み合わさることで、戦闘を盛り上げる独特の浮遊感と恍惚感を漂わせる。謎が謎を呼ぶヴァイスハイトの素性や、一見すると物騒な曲名とは裏腹に、王道を突き詰めたヒロイックな一曲である。
WAといえば第一に口笛ですが、口笛以外も良い曲あるよ……という好例ですね。