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#195 『Todestrieb』(Rche/beatmania IIDX 19 Lincle/AC)

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コナミがおくる音楽シミュレーション・beatmania IIDXより、

RcheことTOMOSUKE作曲、19 Lincleの『Todestrieb』。

Lincle Kingdomでの解禁曲で、意味は精神医学用語(ドイツ語)で「死への欲動」。

BEMANIの本家シリーズであるIIDXの19作目にあたる本作。可憐(ラブリー)×轟音(ドライブ)=新連鎖(ニューリンクル)というキャッチコピーのもと、連結や連動をコンセプトにしていて、非接触型のタッチ式カードリーダーを採用した水色の筐体が特徴である。初心者向けの新モードとして、決められた楽曲を攻略して東海道五十三次の街道を進むSTEP UPモードが導入されたほか、2人同時プレイ限定でクリアの可否に関わらず3曲まで連続で遊べるFREE PLUSモードも追加された。また、すべての難易度で楽曲プレビューが可能になり、上級者用にEX HARDの超高難度オプションが加わった。連鎖というテーマにあわせて他作品との連動企画が盛んにおこなわれ、Lincle Kingdomと称した大規模な楽曲開放イベントなども開催された。

本作では全700曲以上が収録されていて、うち新曲の内訳は70曲ほどとなっている。全体の音楽性としては、サウンドディレクターを務めるL.E.D.(角田利之)氏によれば、本作のキャッチーなイメージを反映したポップスの要素を取り入れ、「ラブリーなポップスとドライブ感のあるサイバーテイストがリンクした」ものとなっている。特にREDALiCE氏やMasayoshi Minoshima氏など、話題のDJが楽曲提供していることも大きな注目点である。一部の作曲家は変名を用いていて、たとえばRcheという名義は、TOMOSUKE(舟木智介)氏が本作のために作中の登場人物にあわせたものである。サウンドトラックはコナミオリジナルの楽曲を中心に、ボーナストラックとして人気曲のロングバージョンも含めて収録されている。

Lincle Kingdomで解禁される楽曲のうち、〈SACRED TRANCE〉というジャンルで括られているこの曲は、傲慢を司る悪魔・Rche(ルシェことルシファー)の専用曲である。悪魔というイメージに反して神聖な佇まいを呈するシンセとピアノの心地良い融合が特徴的である。高速で押し寄せてくるノートに負けず劣らずのスピード感を醸すピアノの速弾き、アップテンポなビートが重なって、脇目も振らずに死に直行するような緊迫感を漂わせている。譜面に関しては、曲全体を通して万遍なく8分や16分音符が散らばった密度の濃さが特徴で、隣り合う鍵盤が連続して並ぶ隣接階段といった難所も存在し、強い癖はないが集中力が試される仕上がりとなっている。

しばらく作曲者不明扱いでしたが、そもそも音ゲー作家さんは往々にして名義が多岐にわたるので、良い意味で振り回されている気がします。