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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#308 『Blue Destination』(Falcom Sound Team jdk/英雄伝説 閃の軌跡II/PS3・PSV)

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日本ファルコムがおくるストーリーRPG英雄伝説より、

Falcom Sound Team jdk(宇仁菅孝宏・園田隼人)作曲、

閃の軌跡2の『Blue Destination』。

前作の『The Decisive Collision』のアレンジで、クロウ関連の戦闘で流れます。

英雄伝説シリーズ8作目にして、軌跡シリーズ3作目にあたる閃の軌跡の直接の続編として登場した本作。前作のエンディング後、仲間と散り散りになったトールズ士官学校の特科クラス・VII組所属のリィンは、エレボニア帝国で巻き起こる貴族連合軍と帝国正規軍による内戦のさなか、仲間と合流して内戦の時代に立ち向かうことになる。本作の大きな特徴として、前作のラスボス戦の特殊戦闘を継承して進化させた新要素・騎神戦が導入された点が挙げられる。これにより各章の最後に、攻撃部位を選択して相手を切り崩すという内容の巨大ロボバトルが待ち受けることになり、メリハリのある展開を楽しめる。また、前作から引き続き、敵味方の思惑が絡み合う複雑で重厚な物語を堪能することができる。続編に向けて伏線を残す仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはファルコムお抱えのサウンドチーム・Falcom Sound Team jdkである。具体的な内訳は宇仁菅孝宏氏と園田隼人氏の二人である。いずれも軌跡シリーズには初期から参加している現役のjdkメンバーで、前作は籾山紗希氏も入れた三人体制だったが、本作では二人で作曲している。本作での爽快感と悲壮感のある楽曲群は健在で、過去作からの流用やアレンジ曲が多い。サウンドトラックは2枚組で収録されている。

クロウ関連の戦闘で流れるのがこの曲である。クロウは主人公リィンにとってのかつての先輩であり悪友であり、因縁のライバルともいうべき存在で、この曲は前作の蒼の騎神オルディーネ戦で用いられた『The Decisive Collision』のアレンジである。物静かなピアノイントロは、クロウが背負う業を象徴するかのごとく、内なる情熱を秘めていて、続くストリングスやシンセサイザーによる爽やかな旋律は、清々しさのなかに確かな哀愁を感じさせる。そのクールでスタイリッシュなメロディーからは、あくまで冷徹に、友人としてではなく敵対する者同士として、最期の一騎打ちを果たさんとする両者の思いが窺える。悲愴的な色合いが強い『The Decisive Collision』と比べて、哀しみよりも旋律的な美しさを重視したような雰囲気で、すべてが終わった暁にはわずかながらのほろ苦さが余韻として残る一曲である。

イメージとしてはクロウ(あるいはクロウを追うリィン)のテーマですが、本作全体のメインテーマ然としたところもあって、ボーカル版の『I'll Remember You』をはじめとするアレンジが多いのも特徴です。とりあえずここは原曲『The Decisive Collision』をどうぞ。

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