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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#457 『My Innermost Apocalypse』(Danny Baranowsky/The Binding of Isaac/PC)

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Edmund McMillenとFlorian HimslがおくるローグライクアクションRPG

The Binding of Isaacより、Danny Baranowsky作曲、『My Innermost Apocalypse』。

追加DLCのWrath of the Lambでのラスボス戦で流れます。

Super Meat Boyで知られるインディークリエイター・Edmund McMillen氏が、プログラマーのFlorian Himsl氏とともに開発した本作。聖書の同名の一節(イサクの燔祭)をモチーフに、主人公のIsaacは、神の啓示を受けて突然殺人鬼と化した母親から逃れるべく、地下深い迷宮を彷徨うことになる。非常にアクの強い、エログロナンセンスの塊のような世界観が特徴で、初代ゼルダライクのシステムのもと、入るたびに変化するランダム生成のダンジョンを攻略していく。やりたい放題の作風が好評を博し、発売て半年後には多くの追加要素を搭載したボリュームたっぷりのDLC・Wrath of the Lambが配信された。後にRebirthと称してリメイク版が登場した。

本作の音楽を担当するのはDanny Baranowsky氏。アメリカ出身の作曲家で、主にインディーズの作品への楽曲提供を手がけている。開発者のMcMillen氏とはSuper Meat Boyで親交があり、その縁もあってか本作ではBaranowsky氏が全曲を単独で作曲している。本作のどろどろした雰囲気にあわせて、スラッシュメタルデスメタル調のハードコアなロックナンバーが数多く収録されている一方で、昔懐かしいチップチューンや、ときに驚くほど安寧に満ちた優しいサウンドも完備されている。なお、リメイク版のRebirthでは氏の代わりにMatthias Bossi氏とJon Evans氏が作曲をおこなっている。サウンドトラックはBandcampやSteamなど、各種オンラインストアにてDLCごとに配信されている。

追加DLCのラスボス戦で流れるのがこの曲である。幾多の恐怖を乗り越え、最後に待ち構える最恐の敵、すなわち自分自身との戦いで流れる。自らにとって、異形の怪物や暴虐の限りを尽くす母親よりもはるかに害をなす存在が、他ならぬ自分自身であるという真理に辿り着いてしまった、取り返しのつかない絶望感を表現するかのごとく、重苦に満ちた暗澹たるエレキギターとオルガンの轟音が響き渡る。全編にわたって曲を支配する暴力的で好戦的な音色は、威圧的かつ挑発的で、無謀にも思える豪胆さにあふれている。まさにラスボス戦というシチュエーションにぴったりな独善的な一曲である。

曲名のセンスが素晴らしいですね。聖書の要素をしっかり最後に持ってくるあたり、よく考えられていますね。ちなみにRebirthではBossi氏とEvans氏の二人がRidiculonというユニット名義で作曲していまして、そちらのIsaac戦のBGMは『Infanticide』に差し替えられています。あわせてお聴きください。

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