アイ・ティー・エルがおくる育成シミュレーションRPG・ごきんじょ冒険隊より、
森彰彦作曲、『通常戦闘』(仮称)。冒険パートの通常戦闘で流れます。
脚本家の黒田洋介氏がシナリオを、漫画家の須藤真澄氏がキャラクターデザインを務めた本作。幼稚園児を主人公に、平日は育成パートとして幼稚園でお勉強を、休日は冒険パートとして外で探検を繰り広げることになる。経験値の概念がない代わりにステータスの強化はすべて育成パートでおこなうほか、戦闘では本作独自のシステムとして、敵を説得することで戦闘を避けることができるなど、当時としては斬新な要素が惜しみなく詰め込まれている。また、メッセージ量が膨大であることも大きな特徴で、幼稚園児目線のキュートでコミカルでちょっぴりカオスな世界観を隅々まで堪能できる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは森彰彦氏。当時サウンド制作を中心に手がけていた株式会社ミントに所属していた作曲家で、故人である。本作はスーファミ末期に発売されたため、ハードの制約があるなかでもかなり充実した音源を出せるようになり、曲数も40曲を超える大ボリュームとなっている。底抜けに明るいはずなのに節々にどことなく後ろ暗さが見え隠れする本作の作風にあわせて、ジャズやオーケストラ調といったバラエティ豊かな楽曲が揃っていて、本作の闇鍋的な雰囲気づくりに大きく貢献している。サウンドトラックは残念ながら未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
日曜日恒例の冒険パートにて、通常戦闘の際に流れるのがこの曲である。戦闘に入る前の演出として、さながら劇のように赤いカーテンが幕を開けるシーンが挿入されるが、それにあわせて奏でられるイントロは、いきなりスウィンギングでグルーヴィーなサックスの音色が轟き渡るインパクトたっぷりな仕上がりとなっている。終始スタイリッシュな勢いを保つノリノリな主旋律に、きらり煌めくようなピアノの伴奏と、リズミカルなドラムのビートとが絡み合うことで、非常に大人っぽい魅力を醸しているが、その実、戦っているのはあくまで幼稚園児であるというミスマッチ感が、いかにも本作らしい独創性に満ちている。ダイナミックな転調を取り入れて二転三転するさまは、通常戦闘曲どころかゲーム音楽の範疇におさまり切らないほどの尖ったセンスにあふれている。
『でたな!ワルモノめ!』という通称でも知られますね。この曲は定番の人気曲ですが、ダンジョンの曲をはじめ他にもいろいろ逸品が揃ってますのでサントラがほしいですね。