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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#587 『こおりのぬけみち』(増田順一/ポケットモンスター 金・銀/GBC)

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ゲームフリークがおくる育成RPGポケットモンスターより、

増田順一作曲、金銀の『こおりのぬけみち』。同名のダンジョンで流れます。

ポケモンシリーズの二作目として登場した本作。前作から三年後、場所はジョウト地方を舞台に、新たに100匹増えたポケモンたちと冒険の旅に出ることになる。ゲームボーイカラー専用ソフトではないもののカラーに対応した豊かな色彩表現が特徴で、今ではすっかりおなじみのポケモンのタマゴやいろちがいも本作が初登場である。また、新たにはがねとあくタイプが導入され、ポケモンにどうぐを持たせられるようになり、ステータス面でもとくしゅで一括されていたところをとくこうととくぼうに分割するなど、対戦への影響も大きい。総じて前作から正統進化を遂げた仕上がりとなっていて、後にマイナーチェンジ版のクリスタルおよびリメイク版のハートゴールドソウルシルバーが登場した。

本作の音楽を担当するのは増田順一氏と一之瀬剛氏。いずれもゲームフリークに所属する作曲家である。このうち増田氏は本作のサブディレクターでもあり、前作は全曲単独で作曲していたが、本作はシリーズ初参加(かつ、以降のシリーズで皆勤賞)となる一之瀬氏と分担して作曲をおこなっている。クリスタルでは青木森一氏も加わるようになったほか、HGSSでは景山将太氏、橘田拓人氏、佐藤仁美氏も作編曲に携わっている。音楽の評価は上々だが、本作単体ではサウンドトラックが発売されたことはなく、発売から10年ほど経ってようやくHGSSサウンドトラックにて初めて音源化された。

8つめのジムがあるフスベシティの北部に広がるこおりのぬけみちは、シリーズ全体を鑑みても一際パズル要素の強い洞窟である。障害物にぶつかるまで一定方向に直進し続ける滑る氷床が至るところに存在し、それらを手際よく攻略しなければいつまで経ってもフスベシティには辿り着けないため、なかなか思考力を試されることとなるが、そこで流れるこの曲は、どこか不気味な焦燥感を漂わせた一曲である。伴奏は基本的に低音だが、主旋律は軒並み高音で構成されていて、キンキン響くゲームボーイ特有の音源が、得も言われぬ肌寒さを感じさせる。なお、この曲はくらやみのほらあなやヤドンのいどでも用いられるが、攻略に要する拘束時間や曲名を考慮すると、おそらくこおりのぬけみちの印象が一番強いだろう。

HGSSアレンジは佐藤さんの担当分で、不気味さと冷たさを強化して、底冷えするような恐怖を生み出しています。あわせてどうぞ。

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