VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#612 『DINO MUSEUM』(根岸貴幸/ブラッディロア3/AC)

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エイティングがおくる3D獣化格闘ゲームブラッディロアより、

根岸貴幸作曲、3の『DINO MUSEUM』。恐竜博物館で流れます。

人から獣へ姿を変えて格闘するブラッディロアシリーズのうち、ナンバリング3作目にあたる本作。ゲームの要たる獣化システムをさらに発展させた超獣化システムが特徴で、必殺技のビーストドライブが使い放題で強力な反面、発動時間が12秒と短く、一度切れたらその試合中は二度と獣化できなくなるという諸刃の剣のような性質となっている。前作のガードエスケープに代わり、本作から敵の攻撃を紙一重で回避するギリギリエスケープが登場したほか、空中で連続の追撃を与えるエアコンボの追加など、苛烈な駆け引きがますますパワーアップした。後にコンシューマー向けの移植版がPS2で発売された。

本作の音楽を担当するのは根岸貴幸氏。音楽制作会社イマジンに所属する作曲家で、シリーズにはPS版初代から携わっている。前作、前々作ともアーケード版では作曲してこなかったが、本作で初めてアーケード版の音楽も手がけるようになった。流血描写もすくなくない本作のアグレッシブな作風にあわせて、エレキギターをふんだんに用いたバリバリのロックサウンドが多く揃っていて、野生的な魅力にあふれた仕上がりとなっている。サウンドトラックはPS版前作の楽曲とともに本作の音源も収録されていて、根岸氏もシンセサイザーの演奏者として参加している。

恐竜博物館はその名の通り、ティラノサウルストリケラトプスと思しき恐竜の化石がそこかしこで飾られた博物館のステージである。そこで流れるこの曲は、博物館というだけあって、どこか知的で落ち着いた雰囲気の漂うピアノの音色が印象的である。38秒あたりでようやく遅ればせながらギターが参戦すると、そこから一気にサビへと駆け登り、重厚感と疾走感が融合した見事なアンサンブルを奏でる。終始冷静さを保ちつつも、身体の奥のほうで獣の血がたぎるような、秘めたる情熱に満ちた一曲である。

サビに入る直前の、48~50秒あたりのちょっとした溜めが好きです。いい感じに高ぶらせてくれますね。