田中公平作曲・根岸貴幸編曲、3の『御旗のもとに』。オープニングで流れます。
乙女たちの華麗な歌劇と活劇が特徴のサクラ大戦シリーズのうち、ナンバリング3作目にあたる本作。帝国華撃団・花組の隊長である大神一郎は、それまでの実績を認められて留学に訪れた花の都・巴里(パリ)で、新たな隊員たちから成る巴里華撃団を率いて暗躍する怪人たちと戦うことになる。前作までの舞台も登場ヒロインも一新し、本作では華やかな異郷の地で新たに5人の隊員たちと交流を深めていく。特筆すべきはビジュアル面で、OPムービーの完成度の高さはさることながら、作中の随所でアニメとCGをいいとこどりして融合させた美麗な映像表現を楽しむことができる。戦闘面でも大きく刷新されていて、従来のマス目状でユニットを指揮する仕組みから代わり、本作では3D空間内で行動ゲージが尽きるまで移動や攻撃を繰り出すARMS(Active & Realtime Machine System)という戦闘システムを導入している。新境地へと大幅に舵を切りつつ、シリーズの良さを受け継いで新たな魅力を打ち出した力作に仕上がっている。後にPCやPS2に移植された。
本作の音楽を担当するのは田中公平氏。サクラ大戦シリーズに欠かさず携わっているおなじみの作曲家である。また、編曲者として安倍栄基氏、岸村正実氏、多田彰文氏、根岸貴幸氏、浜口史郎氏、松尾早人氏、蓑部雄崇氏、宮崎慎二氏も携わっている。蓑部氏は当時、安倍氏は現在もセガに所属する作曲家である。それ以外は田中氏含めいずれも音楽制作会社イマジンに所属する作編曲家である。本作では新ヒロインたちが歌い上げる多数のボーカル曲をはじめ、シリーズならではの優雅で力強い楽曲群が揃っている。サウンドトラックについては、ボーカル曲込みで網羅的に収録したものや、ボーカルのみで構成された歌謡全集などが存在する。
オープニングで流れるのがこの曲である。ドラムロールによる昂揚感を煽るイントロで始まり、次いでオーケストラが咆哮するかのように派手な音色を鳴らすことで、瞬く間に物語の開幕を印象付ける。Aメロが入るまでの間、映像では五人の乙女の様子を順に描き、映像の流れに合わせるようにカスタネットやストリングス、フルートが相次いで奏でられる。本格的に歌が入ってからはさらに曲と映像が勢いづいて凛々しさが増す。35秒以降では凛々しさはそのままに、ストリングスがゆったりと気品を漂わせながら伴奏し、ブラスが要所要所で猛々しく響くことで、淑やかさとしたたかさを併せ持つ隊員たちの勇姿をいっそう強調する。サビに入る直前で「乙女たち」と声を合わせて歌うと、映像の盛り上がりに呼応するようにイントロに似たドラムロールが入り、そこから今まで以上に大迫力な歌と画の協演を披露する。まるでオペラを思わせる美しい歌声に、鮮やかな戦闘描写や爆発演出が絡み合い、視覚も聴覚も圧倒されるようなインパクトを生む。終盤に至ってなお勢いは衰えず、「夢と希望」と歌う1分19秒以降は、足を振り上げて踊るフレンチカンカンの滑らかなダンス映像と相まって、非常に絢爛豪華な印象を与える。最初から最後まで天晴れな一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。いつ観ても凄まじいというか、恐ろしい出来ですね。タイトル画面などで用いられるオフボーカル版や、PXZ2参戦に際するピアノやアコーディオンを取り入れたアレンジ等も存在します。あわせてどうぞ。