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#750 『覚醒』(土屋憲一/カドゥケウス NEW BLOOD/Wii)

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アトラスがおくる医療アクション・カドゥケウスより、

土屋憲一作曲、NEW BLOODの『覚醒』。カルディア除去手術の後半戦で流れます。

ドラマチック手術アクション・カドゥケウスシリーズのうち、第2弾(リメイクを除く)にあたる本作。北米のアラスカを舞台に、外科医のマーカスとヴァレリーは、未知のウィルス・スティグマに関する手術依頼を受け、やがて世界中で蔓延することになる病原菌との戦いに巻き込まれていく。さながら海外ドラマのような洗練された雰囲気と、Wiiリモコンをメスのように振るう大胆で直感的な操作性が特徴で、新たに2人同時プレイに対応するようになったほか、Wi-Fiランキングでハイスコアを競い合う通信要素も追加された。フルボイス化も相まって、緊張感と臨場感あふれる仕上がりとなっている。なお、北米先行で発売されたのち、遅れて国内版が登場した。

本作の音楽を担当するのは喜多條敦志氏と土屋憲一氏。いずれもアトラスに所属する作曲家で、土屋氏は前作に引き続き作曲しているが、当時新人だった喜多條氏はシリーズ初参戦である(なお、喜多條氏のデビュー作は本作発売より半年ほど前に登場したグローランサーVI)。本作では人命救助の緊迫感を表現したスリリングなエレクトロニックサウンドが多く、ギターを駆使したロックナンバーからチルアウト系のゆったりとした曲調のものなど、場面に応じたバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックは存在するものの曲ごとに誰が担当したのか明かされていないが、JASRACのデータベースに作曲家に関する情報が登録されている。

カルディアとはギリシャ語で「心臓」を意味する単語であり、本作では最後の関門として立ちはだかる恐るべきスティグマのことだが、そのいわばラスボス戦の第二形態、外殻を取り払ったあとの後半戦で流れるのがこの曲である。前半戦の『降臨』(こちらも土屋氏による)同様、イントロでは神々しいクワイアが響き渡るが、その後も終始神聖さを保ち続ける前半戦とは異なり、こちらは20秒あたりからド派手なギターサウンドへと一変する。暴力的な勢いに満ちたエレキギター、幻想的な雰囲気を帯びたピアノ、そこにさらにアグレッシブに攻め寄せるパーカッションが組み合わさることで、末期的とも思える焦燥感を煽り立てる。高速に暴れ回って裂傷や腫瘍を生み出し続ける脅威の敵との最終決戦を否応なく盛り上げてくれる一曲である。

緊張と神秘のバランスが絶妙で、土屋さん作曲の覚醒という名の戦闘曲で……既視感のある要素が盛り沢山ですね。カルディア前半戦の『降臨』、それからせっかくなので既視感の正体(女神異聞録ペルソナの『戦闘~覚醒』)もあわせてどうぞ。

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