戸島壮太郎作曲、Circle of the Moonの『awake』。地下墓地で流れます。
悪魔城ドラキュラシリーズのうち、初のGBA作品として登場した本作。オーストリア郊外の古城にて、ドラキュラ復活の儀式を阻止しようとしたヴァンパイアハンター・モーリスは、時すでに遅くドラキュラに囚われ、一緒にいたモーリスの弟子・ネイサンとヒューは地下深くに落とされてしまうが、師匠救出のために再び悪魔城へと乗り込むことになる。月下の夜想曲の系譜を継ぐ探索型のアクションRPG風のゲーム性が特徴で、デュアルセットアップシステムと呼ばれるカードの組み合わせで武器を強化したり特殊能力を得ることができる。ダッシュの移動方法(十字キー横を二回押下)をはじめ、全体的な操作性がやや入力しづらく癖があるものの、適度に歯応えのある硬派な難易度や、隅々までつくり込まれたマップなども相まって、GBAのローンチタイトルとして高水準にまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは戸島壮太郎氏とHiroshi Mitsuoka(漢字表記が不確定)氏。Mitsuoka氏についてはあまり判然としないが、戸島氏とともにおそらく当時コナミに所属していた作曲家と思われる。本作ではオリジナル曲はすくなめで、過去曲のアレンジが大部分を占めているが、選曲のセンスもアレンジの出来栄えも優れていて、GBA音源で奏でられる新たなドラキュラサウンドを堪能できる。サウンドトラックは白夜の協奏曲とあわせて収録されているほか、シリーズの楽曲を網羅したBest Music Collections BOXにも本作の楽曲が収録されている。
オープニングデモで地下に落とされ、その後のエリア移動で訪れることになる最初のステージ「地下墓地(Catacomb)」で流れるのがこの曲である。それまで流れていた鬱屈としたオルガンの音色(『Nightmare』、後に地下水路でも流れる)から一転、軽やかな高音のイントロで始まるヒロイックな曲調が印象的である。イントロが明けた10秒頃からはギターの低音も唸りを利かせるようになり、軽快でありながらも重厚な雰囲気を生み出す。情熱的に奏でられる旋律は、地下墓地の薄気味悪いイメージを払拭するかのような勇ましさに満ちている。師匠救出に向けての第一歩を踏み出す弟子の雄姿を鮮やかに表現した一曲である。
『Nightmare』(原曲は悪魔城伝説より)のあの絶望的な陰鬱さを脱して、この曲に切り替わることで、とてもよくメリハリが出ていて見事ですね。『Nightmare』と、それからスマブラSPでのアレンジ(編曲は関河義人さんで、曲名は先頭大文字になった『Awake』)、あわせてどうぞ。