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#449 『Wicked Child』(山下絹代/悪魔城ドラキュラ/FCD)

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コナミがおくるゴシックホラーアクション・悪魔城ドラキュラより、

山下絹代作曲、『Wicked Child』。屋外のステージで流れます。

今なお続く悪魔城ドラキュラシリーズの原点にあたる本作。ファミコンディスクシステム向けに発売され、横スクロールのステージクリア型アクションとして、ヴァンパイアハンターの主人公が吸血鬼ドラキュラを討伐するというのが大まかな流れである。当時珍しかったゴシックホラー調の世界観のもと、主人公の基本武器が鞭であること、軽快さとは程遠い硬派でリアル志向なアクションを取り入れたことなど、意欲的で画期的な要素が満載で、シリーズの基礎をつくりあげた名作である。

本作の音楽を担当するのは寺島里恵氏と山下絹代氏。いずれも当時コナミに所属していた作曲家で、寺島氏は本作以前にもグーニーズグリーンベレーで作曲経験があるのに対し、山下氏は本作がデビュー作である。退廃的な作風にあわせて、アップテンポながらもどこか陰鬱さを秘めたクールなサウンドが勢揃いしていて、本作ですでにドラキュラサウンドの完成形とも言うべき極致に達している。サウンドトラックは発売されているものの楽曲ごとに誰が作曲を担当したかは明かされていないが、山下氏のインタビュー記事で詳細が語られている。

屋外に出るステージ、すなわち3面において流れるこの曲は、抜群の疾走感を誇る一曲である。鬱屈とした城内を飛び出して渡り廊下を進んでいくというシチュエーションにぴったりな解放感に満ちた音使いは、聴く者をたちまち虜にするような鮮烈な印象を持つ。ハードの制約により音数が限られた状況下、43秒から始まるサビではオクターブを行き来して低音と高音を交互に奏で合うことで、本作特有の重厚さとノリの良さの両方を見事に表現している。1ループ1分ほどと短いが、決して物足りなさを感じることのない圧倒的な密度を有した一曲である。

2面の『Stalker』(寺島さんの作曲)とのメドレーという形で、スマブラSPにて坂本英城さんの手でアレンジされています。坂本さんが得意とするオーケストラ調の格式高いアレンジです。あわせてどうぞ。

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