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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1845 『来世』(前沢秀憲・水谷郁・山下絹代/火の鳥 鳳凰編 我王の冒険/FC)

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手塚治虫著の漫画およびアニメ映画を原作とする、

コナミがおくるアクション・火の鳥 鳳凰編 我王の冒険より、

前沢秀憲・水谷郁・山下絹代作曲、『来世』(仮称)。来世のステージ群で流れます。

手塚治虫氏の大長編SF漫画「火の鳥」のうち、1986年に公開されたアニメ映画「火の鳥 鳳凰編」を題材にしたゲーム化作品にあたる本作。かつて盗賊として生きるも改心して僧侶となった我王は、精魂込めて作り上げた火の鳥の彫刻が何者かの手によって16の破片に分割されたことを受け、時空を超えて破片を取り戻す旅に出ることになる。全16面構成、ライフ制と時間制限を兼ね備えた仕様で、大雑把なキャラや世界観は原作を踏襲しているものの、設定や物語は改変されてほぼオリジナルのアクションゲームに仕上がっている。ノミを投げて戦う基本動作のほか、鬼瓦を任意の場所に設置して足場にしたり敵を囲んで封じ込めたりすることができるシステムが特徴的である。敵を倒すと鬼瓦に変化し、最大99個まで保有することができるため、手軽に様々な場面で応用して自分なりの攻略法を見つける楽しみが味わえる。操作感の良さと応用の利きやすさから難易度は全体的に易しめだが、しっかりと探索する醍醐味と独自性が光っていて、原作とは異なるもののよく練り込まれた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは前沢秀憲氏、水谷郁氏、山下絹代氏。それぞれスタッフロールではDANDY HIDENORI、FUNNY IKU、CHARMING KINUYO名義でクレジットされている。いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。三名とも今ではキャリアの長いベテラン揃いだが、本作発売当時は駆け出しで最初期の担当作品にあたる。本作では当時のコナミサウンドの例に漏れず上質で昂揚感を煽るBGMが取り揃えられている。また、エンディングには映画の主題歌のインストアレンジを用いていて、原曲の美しさを保ちつつファミコン音源だからこそ映える味わい深さを生み出している。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

来世のステージ群で流れるのがこの曲である。来世は16面中5面を占めていて、攻略順序は定められていないものの普通にプレイすればゲーム中盤に辿り着く。月面や未来都市を思わせる背景が印象的で、発展しつつもすこし寂びれているような独自の空気感がある。そうしたなか、出だしから怪しくうねる高音を軸に、じっくりリズミカルに刻まれる低音ベースとドラムノイズを絡め合わせることで摩訶不思議なテンションを醸している。6秒から奏でられるメロディーはどこか悲劇的なトーンを帯びていて、特に19秒以降になると高音域を巧みに駆使して勇ましくも寂寥感のある印象を与える。34~35秒と40~41秒にはタムを鳴らして耳に残る独特な聴き心地を生み出していて、フレーズに一区切りつけて後続のループに違和感なく繋がっていく。先行き不透明だけど手探りで前進するシチュエーションによく合う一曲である。

どうでもいい話ですが、来世ってローマ字で書くとraiseで、レイズは蘇りのことですよね。なんか不思議な縁を感じます。