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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1844 『小鳥達の黒羽焚き』(JynX/連縁 天影戦記 ~ Brilliant_pagoda_or_haze_castle/PC)

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トリック・ノスタルジーがおくる弾幕シューティング、連縁projectより、

JynX作曲、天影戦記の『小鳥達の黒羽焚き』。4~6面の闡裡神社参道で流れます。

個人運営の同人サークルであるトリック・ノスタルジーの代表作で、全編フリーで配信されている連縁projectの第4弾にあたる本作。春を迎えて花見と酒と戦争に染まる无現里で、天が鏡を割るという妙な噂を聞いて藪雨や玄鳥らが真相を知るために立ち上がることになる。本作からシリーズ名を鏈縁から連縁に改め、従来の6面構成の弾幕シューというお約束を守りつつ、ランダム性や分岐による多様性をぐっと高めている。自機は歴代勢揃いの12キャラがプレイアブルで、メインとサブとサポートの3人1組で出撃し、組み合わせによって基本的な性能、ボムの数や種類、自機強化時に獲得できるスキルなどが異なる。ステージ内で左・中央・右のどの方向に進むかによって進路分岐が生じるほか、遊ぶたびに敵の移動パターンや弾幕、道中で発生する視界不良や入力反転などのサブイベントが変わる。お酒を通貨として自機を強化できるアップグレードシステムが搭載されていて、バリア容量増加などの基礎性能を伸ばすほかにも体力自動回復をはじめとするユニークなスキルが獲得可能である。やり込むほどにどんどん強くなる快感が味わえる一方で、高難易度モードは強化を前提とした凶悪なゲームバランスで、強化を極めてもなおスリリングな戦いに挑むことができる。総じて野心的なシステムが多く盛り込まれてやり応え十分な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはJynX氏。トリック・ノスタルジーの主宰であり、本作の企画やプログラム、イラストなど開発全般を一手に担っている。シンセやピアノ、トランペットを活かしたメロディアスでファンタジックな作風はそのままに、本作ではステージ分岐やボスの多さに合わせて楽曲が多数用意されている。特にボス戦は過去作の曲をアレンジしたものが散りばめられていて、シリーズの集大成のような豪華さがある。例によって作中にMusicRoomがあるほか、サウンドトラックがサークルのYouTubeチャンネルで全曲公開されている。

4~6面の闡裡神社参道[以遠]で流れるのがこの曲である。闡裡神社参道は中央のルートで、1~3面では『押っ開かれた火蓋 ~ Slow Starter』、EX面[僻遠]では『進まねばならぬ道』と別の曲が流れる。いずれもピアノを軸としているが、1~3面はミドルテンポで軽やか、4~6面はハイテンポで妖しげ、EX面はややスローテンポで使命感あふれる仕上がりで、共通点がありつつそれぞれ趣が異なる。元々、玄鳥(藪雨と並ぶシリーズのメイン主人公で闡裡神社の代理神主)のテーマ曲として作られたらしく、戦闘曲に近いノリの良さとスリルが滲んでいる。冒頭からピアノとハンドクラップの鮮やかな掛け合いが印象的で、終始高速で突き進んでいくかと思いきや36秒でややテンポを落とし、1分過ぎから徐々に勢いを上げたりして目まぐるしく変化していく。1分37秒にはすっかり本調子に戻り、華やかなピアノ、冴えたハンドクラップ、煌びやかなチェレスタ風の音色が絡み合って絶妙な昂揚感を生む。2分過ぎにはさらにキーを変えて盛り上げるが、2分12~23秒にはあえてそれまで鳴らしてきたピアノを一部削り、2分24秒以降にはチェレスタも削って音数を減らす。そのまま減り続けるわけではなく、2分35秒には再び一部の音が戻り、2分41秒にはピアノが完全復活を果たす。やがて2分47秒で以前にも聴き覚えのある間奏に突入し、ループに入る。妖しく激しく、すこし切ない一曲である。

『押っ開かれた火蓋 ~ Slow Starter』と『進まねばならぬ道』もあわせてどうぞ。聴き比べてみてください。

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