VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1205 『INTESTINES』(藤森崇多/真魂斗羅/PS2)

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コナミがおくるアクション・魂斗羅より、

藤森崇多作曲、真の『INTESTINES』。MISSION 005のボスラッシュで流れます。

最強の闘士となって豪快なアクションとシューティングを楽しむ魂斗羅シリーズのPS2進出作にあたる本作。エイリアン戦争の英雄だったはずのビル・ライザーは、突如戦友のランスを殺害して兵器を暴走させ、地球に甚大な被害をもたらしたかどで投獄されていたが、謎のテロ組織・ブラッドファルコンの台頭を受け、これに対抗すべく特例的に釈放されて戦地に赴くことになる。グラフィックは3D化しているが、ジャンルは従来通りの一撃死制の2D横スクロールアクションで、銃器でゴリゴリ攻める死に覚え型のゲーム性を踏襲している。衝撃的なシナリオとそれに伴うシビアな作風が特徴である一方で、シリーズ恒例のノリやネタも健在である。戦闘面では標準装備で3種類の武器を自由に切り替えることができ、各武器に通常攻撃と溜め撃ちの2つの攻撃方法が用意されている。また、特定の敵を倒したり道中の設置物を破壊したりすることで上昇する撃破率システムが搭載されていて、ミッションクリア時のランクを示す指標になると同時に、物語の展開に影響を及ぼす分岐要素としても機能している。総じてシリーズらしいやり応えのある硬派な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは藤森崇多氏と山岡晃氏。山岡氏は当時、藤森氏は現在もコナミに所属する作曲家である。魂斗羅シリーズには山岡氏は前作のザ・ハードコアから引き続き携わっているが、藤森氏は初参戦である。本作ではエレキギターを利かせたハードロックを中心に、テクノやトランスなども交えて今まで以上に爽快でアッパーなサウンドが揃っている。また、一部過去作からのアレンジも含まれる。

MISSION 005「ISLANDS」の後半、要塞内部からエイリアンの腸内へ転移した後に待ち構えるボスラッシュにて流れるのがこの曲である。ステージ背景の気味悪さに加え、登場するボスは天王創魔心ゴメラモスキングや陰獣キムコウなど、歴代おなじみのグロテスクなクリーチャーばかりである。とはいえ、曲は(すくなくとも前半は)殊更不気味さを強調しているわけではなく、テクノ系のストイックなリズムパターンで粛々と進行する。しばらく変化に乏しい曲展開が続くが、36秒でコーラスが加わると、その神秘的な響きが暴力的なビートとうまく調和し、激しさのなかに美しさが感じられるようになる。1分8秒では、ずしんと鳴るピアノの重低音に続いて、シンセストリングスを思わせる音色が張り詰めた伴奏を奏で始め、じわじわと不穏で不吉な印象を強める。1分40秒からはコーラスが短い間隔で切迫した歌声を披露し、2分12秒ではさらにキーを上げてゴシックホラーに通ずるような退廃的な曲調へと変わる。徐々に焦慮の色が深まっていく熾烈な一曲である。

曲名はそのまま「腸」という意味ですね。音楽は大部分が銃撃音やその他の効果音で掻き消されがちですが、コーラスは響きが相殺されにくいのか、結構耳に残ります。