VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#791 『Green days』(下村陽子/EGGLIA~赤いぼうしの伝説~/iOS・And)

music.apple.com

ブラウニーズとDMM GAMESがおくるRPG・エグリアより、

下村陽子作曲、『Green days』。ヒナワの森などで流れます。

※単曲動画が削除されたため、30秒の試聴動画です

マジカルバケーションで知られるブラウニーブラウンのスタッフが独立して設立したブラウニーズの代表作にあたる本作。かつて栄えた奇跡の王国・エグリアは、滅びの間際に大地を特別なたまごのなかに封印するも、誰も封印が解けぬまま長い年月が経過、その後どこからともなく封印を解く術を持った記憶喪失の主人公・チャボが現れると、エルフ族の少女・ロビンと一緒に大地を再生することになる。絵本のような質感で描かれるグラフィックが特徴で、ワールドマップ上の好きな位置でたまごを割ってフィールドを作成、すごろくの要領でサイコロを振ってマス目状のフィールドを探索し、ときに戦闘をこなしつつ、素材を集めて世界を繁栄させていく。ジャンルはRPGだが、箱庭世界を自分好みにカスタマイズするシミュレーション要素が詰まった仕上がりとなっている。後に完全オフラインに移行したリニューアル版の「最期のたまご」が配信されたほか、スイッチ向けに移植された。

本作の音楽を担当するのは下村陽子氏と弘田佳孝氏。いずれもかつてスクウェアに所属していた、現在フリーランスの作曲家で、元々スクウェアのスタッフ(特に聖剣伝説LOMのメンバーを中心に)が独立してできたブラウニーブラウンが、再独立してブラウニーズを設立した経緯もあって、本作の作曲を担うことになった(このうち下村氏はまさしくLOMで作曲していた)。また、弘田氏は作曲のみならず効果音も手がけている。メルヘンチックな世界観にあわせて、曰く「気心しれた音楽仲間がそれぞれ楽器を持ち寄って、少人数の編成で演奏できるような曲」をイメージして作曲したとのことで、バイオリン、フルート、オーボエ、加えてシンセサイザーエレキベースといった電子楽器も取り入れたバラエティ豊かな楽曲が揃っている。サウンドトラックはイベントで先行販売された後、市販もされている。

最初に割ることになるたまごから再生されるヒナワの森をはじめ、ピグール平原でも流れるのがこの曲である。序盤の朗らかな雰囲気にふさわしい、風のように軽やかなバイオリンの音色が印象的で、リズムにあわせて華やかなワルツを踊りたくなるような瑞々しさにあふれている。長閑で伸びやかな調べを下支えする、伴奏のオーボエやハープが、麗らかで美しい旋律にいっそう色鮮やかな彩りを添え、前向きに冒険を楽しむ気分にさせてくれる。本作の温かな作風を体現したような一曲である。

素朴だけど華麗なところが、こぢんまりとした室内楽ならではの魅力を反映していて素敵ですね。