Sukeban Gamesがおくるサイバーパンクバーテンダーアクション・VA-11 HAll-Aより、
Michael Kelly作曲、『Your Love is a Drug』。バーで流すことができる曲の一つ。
ベネズエラのインディーゲームスタジオ・Sukeban Gamesの代表作にあたる本作。207X年、腐敗したディストピアの中心地であるGlitch Cityを舞台に、都市の片隅にあるバー・VA-11 HAll-A(通称ヴァルハラ)に勤める主人公・Jillは、バーテンダーとして客と交流しつつカクテルを振る舞うことになる。会話の選択肢の代わりに提供するカクテル次第で物語が分岐する、やや特殊な形式のノベルゲーム兼アドベンチャーで、客種は天才ハッカーやアンドロイド、殺し屋に超人気アイドルまで、様々な事情を抱えた訳ありのメンツが揃っている。仕事に励む傍ら、稼いだ給料で家賃や電気代を支払う必要があるほか、売店で物を買って趣味に費やすことも可能で、都会の暮らしを追体験できる。SF、サイバーパンク、同性愛、その他雑多なサブカルチャーをミックスしたセンスあふれる仕上がりとなっている。後にVita、PS4、スイッチに移植された。
本作の音楽を担当するのはMichael Kelly氏。Garoadという名義でも知られるアメリカ出身の作曲家で、ゲーム音楽を手がけるのは本作が初めてである。氏は大のサブカル好きで、ゲーム音楽に関しては特にスナッチャー、ポリスノーツ、真・女神転生、ペルソナなどから多大なインスピレーションを受けたという。本作の収録曲のなかにはYU-NOで知られる作曲家の故・梅本竜氏へのトリビュートとして、梅本氏の名を冠する楽曲まで存在する。本作のグルーミーな世界観を表現すべく、80年代あたりをイメージしたシンセポップ、アンビエント、ヴェイパーウェイブなどのジャンルの楽曲が数多く取り揃えられている。また、本作ではバーで流す音楽を自分で選べる(ジュークボックスに曲を自分好みにセットする)システムが導入されているのも大きな特徴である。サウンドトラックは氏のBandcampにて配信されている。
ジュークボックスのなかの収録曲の一つがこの曲である。どのシーンで流すかはプレイヤー次第だが、この曲は初期の収録曲ではなく、売店で購入することで初めて流せるもので、バーに訪れる客の一人である人気アイドル・*Kira* Mikiの持ち歌(のインストゥルメンタル版、ゲーム内ではインストのみ収録)である。彼女の愛嬌あふれる無邪気な性格を体現したかのような明るく爽やかなシンセナンバーで、煌びやかなシンセサイザーに、ピアノとギターのクリーンな旋律が混じり合うことで、アングラ感漂うバーの雰囲気をぱっと照らすような眩しさに満ちている。際どい話題の最中でも、いつでも店内を賑やかに彩ってくれる魔法のような一曲である。
本作から何か紹介してほしいというリクエストをいただきました。ずっと聴いていたいような中毒性があって、よく流していました。ちなみに自主的に選曲する以外にも、条件を満たせばエンディングのコンサートイベントでも流れます。ゲーム内はインスト版のみですが、ゲーム外のアレンジとしてボーカル版もあり、結構がらりと曲調が変わって大人っぽい魅力のあるバラードに仕上がっています。あわせてどうぞ。
※追記 コメントでリンクをいただきました『Re: The Silver Case』について、動画を再生しやすいように以下に掲載します。