梅本竜作曲、『抜刀』。自機のセレクト画面で流れます。
デススマイルズ以来となるケイブ製の完全新作横スクロール弾幕STGとして登場した本作。高度成長期の日本を模した、大正ならぬ大照時代を舞台に、新資源の祈導石を応用してつくられた超人的な武器・血晶刀によって他国への侵略を繰り返す帝国の暴虐さに不信を抱いた帝王の実の息子・桔梗ら六人は、反帝国組織・月華を結成して帝国に戦いを挑むことになる。操作は8方向レバーにボタンが4つ、本作特有のシステムとして祈導ゲージを溜めて発動する念心というものがあり、自機が人型へと変容して、被弾すると強制解除になる代わりに高火力でスコア稼ぎの効率がいいアタックモードか、火力は低いが敵弾をすべて無効化できるディフェンスモードを選べる。和風ミリタリーな世界観と、美しく鬱々しい作風とが相まって、独特な魅力を湛えた仕上がりとなっている。後にシステムに大幅にテコ入れしてゲームバランスを改良した移植版がXbox360で発売されたほか、それを基にXboxOne、PS4、スイッチ、Steam向けに再移植された。
本作の音楽を担当するのは故・梅本竜氏。ケイブ製の作品には本作以前にもエスプガルーダ2BLにおけるアレンジ・追加曲などを担当したり、ケツイ、怒首領蜂などのアレンジアルバムで編曲者として参加したりするなど、馴染みの作曲家だった。本作では移植版の真も含めて単独で作編曲を手がけていて、和楽器と電子楽器を組み合わせた爽快なロック・テクノナンバーが揃っている。楽曲の特徴として、曲名の多くが刀の部位や動作に関わるネーミングとなっている。サウンドトラックはキャラクターのボイスコレクションも含めて収録されている。
ゲーム開始直後、自機をセレクトする画面で流れるのがこの曲である。壱号機から参号機まで、それぞれ悲壮な決意を背負ったペアが用意されていて、どれを選ぶかで機体の性能やエンディングの展開にも影響するが、そうした選択の時を疾走感たっぷりに彩ってくれる。終始ハイスピードでハイテンションながらも、どこか哀愁を誘う尺八の音色が印象的で、エレキギターとシンセサイザーと三味線とが一丸となって紡ぐ煌びやかな合奏が、出陣のための準備を整える戦支度の場面を鮮やかに盛り上げる。1ループ30秒ほどの短さのなかに、昂揚感をそそるような勇ましさと儚さが凝縮された一曲である。